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相続発生後

相続した実家をどうする?住む・貸す・売る・手放すの4択と、放置した場合のリスク

公開日 2026年8月18日 ・ 更新日 2026年8月18日 ・ 7分で読めます

親が亡くなり、誰も住む予定のない実家が残った——相続した実家の行き先は、突き詰めると「住む・貸す・売る・手放す」の4択です。そして多くのご家庭が、どれも決めきれないまま「とりあえずそのまま」を選び、数年後に後悔します。

この記事では、4つの選択肢の向き不向きと費用感、放置した場合に起きること(税金の増額・過料・資産価値の消滅)、そして決めるための順番を整理します。実家問題は「感情」と「お金」が絡む家族の議題なので、判断材料を揃えて家族会議に臨むためのハブとしてお使いください。

すべての前提:まず相続登記——放置は過料の対象

  • どの選択肢を取るにも、実家の名義を相続人に移す「相続登記」が出発点です。2024年4月から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります(相続登記の義務化
  • 「とりあえず亡くなった親の名義のまま」が最悪の選択です。売却も賃貸も解体もできず、次の相続が発生すると相続人がねずみ算式に増えて収拾がつかなくなります(数次相続
  • 遺産分割で誰が実家を取得するか決める際、「もめないから兄弟の共有名義に」は将来の紛争の先送りです。売却にも賃貸にも全員の同意が必要になり、次世代では共有者が倍増します。単独名義+代償金などで清算する形を原則に(遺産分割協議書の書き方

4つの選択肢——向き不向きと費用感

相続した実家の4択 ― 住む・貸す・売る・手放すを示す図解
図:相続した実家の4択 ― 住む・貸す・売る・手放す

選択肢①:住む(自分または親族が使う)

  • 最もシンプル。同居していた相続人が取得する場合、小規模宅地等の特例で相続税評価が大きく下がる可能性があります(適用要件は税理士確認)。リフォーム費用と、他の相続人との公平の調整(代償分割)が論点です

選択肢②:貸す(賃貸に出す)

  • 家賃収入が入る一方、築古の実家はリフォームに数百万円かかることが多く、投資回収の計算が合うかが分かれ目です。空室・修繕・管理の手間も継続的に発生します
  • 一度賃貸に出すと借主の権利が保護されるため、「やっぱり売りたい」が簡単にはできなくなる点は事前に理解を。戸建て賃貸・駐車場・更地化して土地活用などの選択肢は不動産会社に複数プランを出させて比較します

選択肢③:売る——税制優遇の期限に注意

  • 住む予定も貸す採算もないなら、資産価値があるうちに売るのが多数派の結論です。空き家は年数%ずつ価値が落ち、傷んだ家は解体費(木造でおおむね100万〜200万円台)を差し引かれます
  • 相続した空き家の売却には「空き家の3,000万円特別控除」(被相続人が一人で住んでいた昭和56年5月31日以前建築の家屋等が対象・耐震改修または解体して売却・相続開始から3年後の年末までに売却、等の要件)があり、譲渡所得税を大幅に減らせます。適用要件が細かいため税理士に必ず確認を
  • 相続税を払った方は取得費加算の特例(相続開始から3年10か月以内の売却)との選択・併用関係も検討ポイントです

選択肢④:手放す——売れない土地の出口

  • 買い手がつかない地方の土地・山林・農地は、相続土地国庫帰属制度相続土地国庫帰属制度)で国に引き取ってもらう道があります。建物は対象外なので解体が前提、負担金(原則20万円〜)がかかります
  • 相続開始前なら相続放棄相続放棄を自分でやる)も選択肢ですが、放棄は「実家だけ」を選んで手放すことはできず、預金など全財産を失うオール・オア・ナッシングです。プラスの財産があるなら国庫帰属や寄付・隣地所有者への譲渡を先に検討します

「放置」を選んだ場合に起きること

  • 管理されない空き家は、自治体から「特定空家」や「管理不全空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例(1/6減額)が解除され、税額が最大で約6倍になり得ます。勧告・命令に従わない場合の行政代執行(解体費用は所有者請求)まで制度化されています
  • 台風での屋根の飛散・放火・不法投棄など、所有者責任(損害賠償)のリスクは家が傷むほど高まります。火災保険も空き家は加入・継続が難しくなります
  • 遠方の実家を当面維持する場合は、月1回程度の換気・通水を自分で行うか、空き家管理サービス(月数千円〜1万円程度)の利用を。「放置」ではなく「管理しながら決める」に切り替えてください

決め方の順番——家族会議の議題テンプレ

  • ①名義と分け方を決める(誰が取得するか・代償金はどうするか)→②使う予定の有無を確認③使わないなら査定(複数社に売却査定と賃貸プランを依頼し、数字で比較)→④売れないなら手放す手段の検討(国庫帰属・寄付・隣地譲渡)→⑤当面の管理体制と期限を決める(「1年以内に売る」等、決断の締切を設定)
  • 親が存命のうちにこの記事を読んでいる方へ——最善のタイミングは「相続後」ではなく「今」です。親の意向を聞ける・住まなくなった時点で親自身が売れる(居住用3,000万円控除が使える)・認知症で売却不能になる前に家族信託で備えられる(認知症の口座凍結ローン付き不動産の信託)——生前に動く選択肢は相続後より多く、税制上も有利なことが少なくありません
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実家の分け方を、協議書に

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よくある質問(FAQ)

実家を相続したくない場合、相続放棄すれば管理義務からも解放されますか?

放棄すれば所有者にはなりませんが、放棄時にその家を現に占有していた場合は、次の相続人等に引き渡すまでの保存義務が残ります(相続放棄を自分でやる)。また相続人全員が放棄した場合、家の処分には相続財産清算人の選任(予納金が数十万円〜必要)が絡みます。「放棄すれば即・無関係」とはならないため、資産価値と借金のバランスを見て総合判断してください。

兄弟の誰も実家を引き取りたがりません。どう決めればいいですか?

誰も使わないなら、「換価分割」——売却して代金を分ける方法が最も公平でシンプルです。遺産分割協議書に換価分割の旨を明記し、便宜上代表者1人の名義にして売却→分配する形が実務では一般的です(遺産分割協議書の書き方協議書のケース別記載例)。「押し付け合い」で共有名義にするのが一番の悪手です。売れない土地なら、国庫帰属の負担金を相続財産から出す合意まで含めて協議しましょう。

実家に仏壇やお墓の問題も絡んでいます。

仏壇・位牌・墓は「祭祀財産」として相続財産と別枠で承継者を決めます。実家を手放す際は、仏壇の移設または閉眼供養・お焚き上げ、墓が敷地内や近隣にある場合は墓じまい(墓じまい)の検討がセットになります。感情面の反発が最も出やすい部分なので、家の処分より先に供養の形を家族で合意しておくと、売却の話が格段に進めやすくなります。

まとめ

  • 選択肢は住む・貸す・売る・手放すの4つ。前提として相続登記(3年以内・義務)を
  • 安易な共有名義と「とりあえず放置」が二大悪手。特定空家指定で固定資産税は最大約6倍に
  • 売るなら空き家の3,000万円控除と取得費加算の期限を意識。売れないなら国庫帰属という出口
  • 最善のタイミングは相続後ではなく親の生前。信託で「認知症で売れない」も防げる

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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