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相続発生後

未登記建物の相続|表題登記からの手順・費用と放置のリスク

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

登記事項証明書を取ろうとしたら「該当する建物はありません」——固定資産税は払っているのに登記がない。これが未登記建物です。古い家屋、離れ、増築部分に多く、相続で初めて発覚することが少なくありません。

未登記建物の相続は「表題登記」を一から作るところから始まります。確認の方法、登記の手順と費用、協議書の書き方、放置のリスク、解体する場合の扱いを整理します。通常の相続登記は「家の名義変更(相続登記)を自分でやる方法」をどうぞ。

この記事の要点

①未登記建物は、課税明細書に「未登記」と表示される、または家屋番号が空欄の建物。古い家屋・離れ・倉庫・増築部分に多い ②相続したら、登記を一から作る「表題登記」(土地家屋調査士)を相続人名義で行い、続けて「所有権保存登記」(司法書士)をする。費用は合計15万〜25万円程度 ③表題登記は取得から1か月以内が義務(10万円以下の過料)。未登記のままでは売却も担保設定も滞る ④解体するなら表題登記は不要で、市区町村に滅失を届け出る。協議書には課税明細の所在・種類・構造・床面積で特定して記載する

未登記建物とは——課税明細でわかる

建物は新築時に「表題登記」を1か月以内に行う義務があります。ところが昔は、ローンを使わずに建てた家や離れ・物置、増築部分を登記しないまま済ませることが多く、今も未登記のまま残っています

確認は簡単です。固定資産税の課税明細書の家屋欄に「未登記」の表示があるか、家屋番号が空欄なら未登記建物です。市区町村は登記の有無にかかわらず課税するため、税金は来るのに登記はない状態が生まれます。母屋は登記されているが増築部分だけ未登記(登記上の床面積と課税明細の床面積が違う)というケースもよくあります(「相続財産の調べ方」)。

相続の登記手順——表題登記と所有権保存登記の2段階

段階誰に頼む内容
①表題登記土地家屋調査士建物の所在・種類・構造・床面積を調査・図面化し、相続人の名義で表題部を新設する。故人名義で作ってから相続登記する必要はなく、相続人が直接所有者として登記できる
②所有権保存登記司法書士(自分でも可)表題登記で所有者とされた相続人が、所有権の登記(権利部)を申請する。ここで初めて売却や担保設定ができる状態になる
未登記建物を相続したときの登記の流れ(2026年8月時点)。

ポイントは表題登記の段階で相続人を所有者にできることです。故人の所有権を証明する書類と、相続人が取得したことを示す協議書、戸籍一式を添えれば、故人を経由せずに登記できます。表題登記に登録免許税はかからず、所有権保存登記は評価額の0.4%です。

費用・必要書類・協議書の書き方

  • 費用のめやす——土地家屋調査士10万〜15万円程度、司法書士5万〜10万円程度、登録免許税(評価額×0.4%)。合計15万〜25万円程度
  • 必要書類——故人の所有権を示す書類(建築確認通知書・検査済証・課税明細や納税証明・工事の領収書など)、協議書と印鑑証明書、戸籍一式、相続人の住民票、建物の図面(調査士が作成)
  • 協議書の書き方——家屋番号がないため、課税明細書の記載にもとづいて「所在・種類・構造・床面積」を書き、「未登記建物」と明記する。「○○市○○町○番地所在、木造瓦葺平家建居宅、床面積○○㎡(未登記)」の形。市区町村の家屋番号(課税上の番号)があれば併記する

増築部分だけが未登記なら「建物表題変更登記」を行います。依頼先は同じです(「遺産分割協議書の書き方とひな形」)。

放置のリスクと、解体する場合

「今まで困らなかったからこのままでよい」と放置すると、次の場面で必ず止まります。

  • 売却——買主は登記のない建物を買えず、住宅ローンの担保にもできない
  • 担保設定——リフォームローンや事業融資で建物を担保に入れられない
  • 次の相続——故人の所有権を示す書類は年月とともに散逸し、相続人が増えるほど協議書の作成も難しくなる。「誰の建物か」を証明できなくなれば、表題登記自体ができなくなる
  • 過料——表題登記は取得から1か月以内が義務で、10万円以下の過料の対象

一方、解体して更地にする予定なら、表題登記は不要です。登記のない建物に滅失登記は要らず、解体後に市区町村へ家屋の滅失届を出せば固定資産税の課税が止まります。解体費用の負担者と解体後の土地の取得者を協議書で決めておいてください。住む・売るなら登記、壊すなら届出——判断はこの二択です(「相続した実家をどうする?」)。

未登記建物も、財産目録に「未登記」と明記して——課税明細の所在・構造・床面積で建物を特定し、財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。協議書と登記の土台になります。

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よくある質問(FAQ)

故人が建てたことを示す書類が何も残っていません。表題登記できますか?

書類が乏しくても、課税明細や納税証明で故人が長年課税されてきた事実、近隣の証言、古い写真や工事の記録を組み合わせて所有権を疎明できれば、表題登記が認められることがあります。調査士が法務局と事前に協議し、どの資料で足りるかを詰めます。土地が故人名義であることも有力な材料です。資料が散逸する前に早く動いてください。

未登記建物は相続登記の義務化の対象ですか?

相続登記の3年以内の義務は、登記されている不動産の名義変更を対象にしており、未登記建物はその枠組みの外です。ただし建物の表題登記は取得から1か月以内が義務(不動産登記法)で、こちらは以前から10万円以下の過料の対象です。「義務化の対象外だから放置してよい」ではなく、より短い期限の義務があると理解してください。土地は登記されているのが普通なので、土地の相続登記は3年以内に必要です。

固定資産税の名義は、登記しなくても変えられますか?

変えられます。市区町村に「未登記家屋の所有者変更届」(名称は自治体による)を出せば、固定資産税の納税義務者を相続人に変更できます。遺産分割協議書の写しや戸籍を添付します。ただしこれは課税上の名義であって、法務局の登記ではありません。売却や担保には使えず、所有権を証明する効果も限定的です。当面住み続ける場合の最低限の手続きと位置づけ、売却や次の相続が見えたら表題登記に進んでください。

表題登記を自分で申請できますか?

法律上は可能ですが、表題登記には建物図面・各階平面図の作成と、所在や構造の調査が必要で、実務上は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。図面の精度や所有権の疎明資料の選び方で申請が通るかどうかが決まるため、自分で行うと補正や却下のやり直しで時間がかかりがちです。続く所有権保存登記は書式が定型的で、自分で申請する人もいます。費用を抑えるなら、表題登記は調査士、保存登記は自分で、という分担が現実的です。

まとめ

未登記建物は課税明細の「未登記」表示や家屋番号の空欄でわかります。相続したら、相続人名義で表題登記(土地家屋調査士)→所有権保存登記(司法書士)の2段階で、費用は合計15万〜25万円程度。表題登記は1か月以内の義務です。協議書には課税明細の所在・種類・構造・床面積で特定し「未登記建物」と明記。放置すれば売却も担保も止まり、所有権を示す書類が散逸すれば登記自体ができなくなる。解体するなら登記は不要で滅失届のみ——住むか売るなら登記、壊すなら届出です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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