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相続発生後

遺産分割協議書の書き方とひな形|自分で作る手順・必要書類・失敗しない記載例

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 11分で読めます

身近な方が亡くなり、相続の手続きを進めていくと、不動産の名義変更(相続登記)でも、銀行の預金の解約でも、必ず提出を求められるのが遺産分割協議書です。「誰が・どの財産を・どれだけ相続するか」について相続人全員が合意したことを証明する書類で、相続手続きの心臓部と言えます。

結論から言うと、遺産分割協議書は自分で作れます。行政書士や司法書士に頼まなければいけない決まりはなく、形式も法律で定められていません。ただし、①相続人全員の参加、②財産の正確な特定、③実印+印鑑証明書という3つの実務ルールを外すと、法務局や銀行で受け付けてもらえず作り直しになります。作り直しは、相続人全員からもう一度実印をもらい直すことを意味するため、精神的にも段取り的にも大きな負担です。

この記事では、作成の手順、財産別の記載例、失敗しやすいポイントを、そのまま使える形で解説します。

前提の確認:遺産分割協議書が必要になるのは、遺言書がない(または遺言書に記載のない財産がある)場合です。有効な遺言書があり、そのとおりに分ける場合は、原則として協議書は不要です。まず遺言書の有無(自宅・貸金庫・法務局の保管制度・公証役場)を確認してください。

全体の流れ:協議書は「作って終わり」ではなく「使う」書類

遺産分割協議書を相続人の確定から財産調査、協議、署名を経て、相続登記・預貯金解約・相続税申告で使うまでの流れを示す図
図:遺産分割協議書 ― 作成から各種手続きで使うまでの流れ。提出先の審査に通る書き方になっているかがすべてです。

協議書は、相続登記(法務局)・預貯金の解約(金融機関)・相続税の申告(税務署)で実際に「使う」書類です。提出先の審査に通る書き方になっているかがすべてであり、この視点が本記事の軸になります。

作成前に揃える必要書類

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(相続人を確定するため)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行後3〜6か月以内を求める提出先が多い)
  • 不動産:登記事項証明書(法務局)・固定資産評価証明書
  • 預貯金:通帳または残高証明書

戸籍の束は各提出先で毎回必要になります。法務局で法定相続情報一覧図を作成しておくと、戸籍一式の代わりに1枚で提出でき、複数の手続きを並行できます。

遺産分割協議書に書く7つの要素

  1. 被相続人の表示:氏名・最後の住所・本籍・生年月日・死亡日
  2. 協議が成立した旨の文言:「相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行い、次のとおり分割することに合意した」
  3. 誰が・どの財産を取得するか(財産別の記載例は次章)
  4. 債務・葬儀費用の負担者(定める場合)
  5. 後日判明した財産の取り扱い:「本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産は、相続人〇〇が取得する」等
  6. 協議書の作成日
  7. 相続人全員の住所(印鑑証明書どおりに記載)・氏名の署名・実印の押印

5番の「後日判明財産」条項は必ず入れてください。この一文がないと、あとから預金口座が1つ見つかっただけで、全員の実印を集めて協議書をもう一度作ることになります。

財産別の記載例――ここで手続きが止まるかが決まる

不動産の記載例:登記事項証明書を「一字一句」書き写す

記載例(土地):「所在 〇〇市〇〇町一丁目/地番 〇番〇/地目 宅地/地積 123.45㎡」。記載例(建物):「所在 〇〇市〇〇町一丁目〇番地〇/家屋番号 〇番〇/種類 居宅/構造 木造かわらぶき2階建/床面積 1階 60.50㎡ 2階 45.20㎡」

住居表示(普段使っている住所)で書くのは典型的な失敗です。登記の申請では登記事項証明書の表記と一致していることが求められるため、必ず証明書から書き写してください。マンションの場合は敷地権の表示まで必要で記載量が多くなります(一棟の建物の表示・専有部分・敷地権)。

預貯金の記載例

記載例:「〇〇銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号1234567の預金全部(元利金を含む)」。金額は相続開始後も利息等で変動するため、金額ではなく口座を特定して「全部」と書くのが実務です。

預貯金のみを分ける場合のシンプル形

遺産が預貯金だけなら、協議書はぐっとシンプルになります。「長男〇〇は〇〇銀行の預金全部を取得し、取得した預金から二男〇〇に金〇〇円を支払う」のように、代表者が解約して分配する形(換価的な処理)にすると、各銀行での手続きを1人に集約できて現実的です。

代償分割の記載例:自宅を1人が相続し、差額を現金で払う場合

記載例:「長男〇〇は、第1条の不動産を取得する代償として、二男〇〇に対し、金500万円を令和〇年〇月〇日までに支払う」。この代償金の条項を協議書に明記しておかないと、支払った現金が贈与とみなされ贈与税が課されるリスクがあります。代償分割を使う場合は特に、書き方を整えてください。

署名・押印のルールと、よくある5つの失敗

  • 押印は必ず実印(市区町村に登録した印鑑)。認印・シャチハタは不可で、印鑑証明書とセットで効力を持つ
  • 相続人の1人でも欠けた協議は無効。疎遠な相続人・前婚の子も必ず参加が必要
  • 相続人に未成年者がいる場合、親も相続人なら利益相反となり、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要
  • 相続人に認知症等で判断能力を欠く方がいる場合、その方は協議に参加できず、成年後見人の選任が必要になる(=生前対策の重要性はここにも表れます)
  • 複数ページになる場合は、ページの綴り目に全員の実印で契印(割印)を押す

協議書は相続人の人数分作成し、全員が実印を押した同じものを各自1通ずつ保管するのが標準です。遠方の相続人がいる場合は、同じ内容の書面を人数分郵送で回して各自が署名押印する持ち回り方式も認められています。

期限に注意:協議書自体に期限はないが、周辺に期限がある

手続き期限
相続放棄相続を知ってから3か月以内(家庭裁判所)
準確定申告4か月以内
相続税の申告・納付10か月以内(協議がまとまらないと特例が使いにくい)
相続登記取得を知ってから3年以内(義務化・過料あり)
協議書そのものに期限はありませんが、周辺の手続きには厳格な期限があります。

特に相続税がかかる可能性のあるご家庭は、10か月以内に協議をまとめて申告する前提で逆算してください。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、原則として分割が確定していないと適用できません。

専門家に依頼すべきケース

  • 相続人間で分け方に対立がある(弁護士の領域。協議がまとまらなければ家庭裁判所の調停へ)
  • 相続人に行方不明者・海外在住者・判断能力を欠く方がいる
  • 不動産が多い・共有や代償分割が複雑(司法書士+税理士)
  • 相続税の申告が必要で、特例の適用判断が絡む(税理士)

逆に、相続人の仲が良く、財産が自宅+預貯金程度であれば、自分で作成できる典型的なケースです。

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相続人と財産を入力するだけで、この記事の7要素と財産別の記載形式を満たした協議書の下書きが完成します(無料でご利用いただけます)。不動産・預貯金のみ・代償分割のケース別にも対応しています。

よくある質問(FAQ)

遺産分割協議書に収入印紙は必要ですか?

不要です。協議書は課税文書に当たりません。

パソコンで作成してもいいですか?

問題ありません。本文はパソコン作成、住所・氏名は自署+実印が実務の標準です。

協議のやり直しはできますか?

全員の合意があれば法律上は可能ですが、税務上は再分配が贈与として課税されるリスクがあります。「とりあえず作る」のではなく、最初に確定させることが重要です。

相続人が1人だけの場合も協議書は必要ですか?

不要です。協議の相手がいないため、戸籍等で単独相続を証明すれば手続きできます。

まとめ

  • 遺産分割協議書は自分で作れる。ただし「全員参加・財産の特定・実印」の3ルールは絶対
  • 不動産は登記事項証明書どおり、預貯金は口座特定+「全部」が鉄則
  • 後日判明財産の条項で作り直しを予防
  • 相続税がかかるなら10か月から逆算して協議を

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。紛争性のある事案は弁護士に、登記は司法書士に、税務は税理士にご相談ください(本文中の期限等は2026年8月時点の公表情報にもとづきます)。作成した書類の下書きは、専門家のチェックを受けたうえでご利用ください。