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相続発生後

数次相続の遺産分割協議書の書き方|肩書きの記載例・登記のまとめ方・放置するとどうなる

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 9分で読めます

「実家の名義が亡くなった祖父のまま。それを相続するはずだった父も先日亡くなった」――このように、最初の相続(一次相続)の遺産分割が終わらないうちに、相続人自身が亡くなって次の相続(二次相続)が始まった状態を数次相続(すうじそうぞく)といいます。相続登記の義務化をきっかけに、この相談が急増しています。

結論からお伝えします。数次相続でも遺産分割協議書は自分で作れます。ポイントは3つ。①亡くなった相続人(父)の立場は、その相続人(あなた達)が引き継いで協議に参加する、②協議書には「相続人兼 被相続人〇〇の相続人」という二重の肩書きで署名する、③戸籍と登記は通常より複雑になるため、どこまで自力で行けるかの見極めが大切、です。

数次相続の構造:誰が協議に参加するのか

数次相続の構造。祖父の遺産分割が終わる前に父も死亡し、子が父の相続人として祖父の協議に参加するケースを示す図
図:数次相続 ― 遺産分割が終わる前に、相続人も亡くなったケース。協議書には二重の肩書きで署名します。

図の例で、祖父の遺産分割協議に参加するのは、①祖父の相続人のうち存命の人(例:叔父・叔母)と、②亡くなった父の地位を引き継いだ父の相続人(母とあなた達兄弟)です。父が参加するはずだった協議の椅子に、父の相続人全員が座るイメージです。

したがって、参加者は「祖父の相続人」と「父の相続人」の両方の全員。一人でも欠けた協議は無効です。まず戸籍で両方の相続人を確定するところから始まります(一次・二次それぞれの被相続人について出生〜死亡の戸籍が必要)。

代襲相続との違いに注意:父が祖父より先に亡くなっていた場合は「代襲相続」で、孫が直接祖父の相続人になります。父が祖父の後に亡くなったのが「数次相続」。戸籍の死亡日の前後で決まり、協議書の書き方も変わります。

協議書の書き方:二重の肩書きの記載例

表題と前文

「被相続人 甲野太郎(令和6年〇月〇日死亡)の遺産について、共同相続人 乙野一子 並びに 相続人兼被相続人 甲野次郎(令和8年〇月〇日死亡)の相続人 甲野花子 及び 甲野三郎 は、協議により次のとおり遺産分割する。」――冒頭で一次・二次両方の被相続人と死亡日を明示します。

署名欄の記載例

「(甲野太郎の相続人)乙野一子 ㊞ /(相続人兼 被相続人甲野次郎の相続人)甲野花子 ㊞ /(同)甲野三郎 ㊞」――亡くなった父自身の署名欄は作りません(署名できないため)。父の立場を引き継ぐ人が、二重の肩書きつきで自分の名前を署名し実印を押します。

1通にまとめるか、分けるか

  • 1通方式:一次相続の分け方(祖父の遺産を誰が取得)を1通に書く。参加者・肩書きを正しく書けばこれで登記可能。シンプルなケースの標準です
  • 2通方式:祖父の協議書と父の協議書を分けて作る。父自身の固有財産(父名義の預金等)の分割も同時に行う場合は、こちらのほうが整理しやすくなります

登記はまとめられる?――中間省略が使える場合

原則は「祖父→父」「父→子」と2回の登記が必要ですが、中間の相続人が1人(父が単独で相続した扱い)になる場合に限り、「祖父→子」へ1回の登記でまとめられる運用(いわゆる中間省略)があります。協議で「祖父の遺産は父が単独相続していたものとし、それを子〇〇が相続する」と整理できれば、登録免許税も1回分で済みます。

  • 使えるか否かは協議内容と登記実務の判断によります。この論点こそ司法書士に相談する価値が最も高い部分です(設計次第で費用と手間が半分になります)
  • なお法定相続情報一覧図は被相続人ごとに別々の申出が必要で、数次相続を1枚にまとめることはできません。祖父の分・父の分をそれぞれ作ります

放置するとどうなるか:ねずみ算の恐怖

数次相続は「1世代分の放置」の結果です。さらに放置すれば、叔父・叔母が亡くなり、いとこ達が参加者に加わり――実印が必要な人数はねずみ算式に増えます。20人30人の協議になった案件では、もはや協議自体が事実上不可能になり、持分の買取りや調停に発展します。相続登記の義務化(3年以内・過料あり)はこの連鎖を止めるための制度です。「今の世代で終わらせる」が唯一の攻略法です。

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よくある質問(FAQ)

亡くなった父の実印はどうするのですか?

使いません(使ってはいけません)。父の署名押印は不要で、父の相続人が自分の実印で押します。故人の印鑑を使った書類作成は私文書偽造にあたり得る明確なNGです。

母(父の配偶者)が認知症で協議に参加できません。

判断能力を欠く方は協議に参加できず、成年後見人の選任が必要になります。数次相続×認知症は自力解決が最も難しい組み合わせのため、早めに司法書士・弁護士へ相談してください。なお、これから備える立場の方には、この事態を防ぐのが家族信託・任意後見です。

相続税はどうなりますか?

一次・二次それぞれで判定します。10年以内に相続が続いた場合の相次相続控除という税負担の軽減制度もあるため、申告が必要な規模なら税理士に「数次相続である」ことを必ず伝えてください。

まとめ

  • 数次相続は「協議前に相続人も死亡」した状態。亡くなった相続人の椅子には、その相続人全員が座る
  • 協議書は「相続人兼 被相続人〇〇の相続人」の二重肩書きで。故人の署名欄は作らない
  • 中間の相続人を単独にできれば登記1回にまとめられる可能性。ここは司法書士の相談価値大
  • 放置は参加者のねずみ算。今の世代で登記まで終わらせる

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。中間省略の可否等の登記実務は司法書士・法務局にご確認ください(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。