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相続した不動産の共有名義を解消する方法|共有物分割請求までの4つの手段

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 10分で読めます

「とりあえず兄弟で半分ずつ」で共有名義にした実家──売るにも貸すにも共有者全員の同意が必要で、固定資産税の立て替えや管理の押し付け合いが始まり、次の相続でさらに共有者が増える。共有は時間とともに必ず重くなる問題です。

この記事は、すでに共有になってしまった不動産を解消する4つの手段を、合意ができる場合・できない場合に分けて解説します。「これから遺産分割する」段階の方は、共有を作らない分け方(換価分割代償分割)を先にご覧ください。

解消手段の全体マップ|合意できるか、できないか

共有名義を解消したい 共有者と話し合いができる? できる 合意ベースの3手段 ① 持分の売買・贈与で集約 ② 持分の放棄 ③ 全員で丸ごと売却 できない 法的手段 ④ 共有物分割請求 協議 → 調停 → 訴訟の3段階 判決:現物分割/賠償/競売 ※ どの共有者も、いつでも分割を請求できるのが民法の原則です(共有は「解消できる」状態)
図1:解消手段の全体マップ。まず合意ベースの3手段、まとまらなければ④へ進みます。

手段①:持分の売買・贈与で1人に集約する

最も件数が多い解消方法です。住んでいる(使っている)共有者が、他の共有者の持分を買い取る(または贈与を受ける)ことで単独名義にします。

持分の売買持分の贈与
お金買い取る側が代金を支払う。適正価格(時価)での取引が原則無償。ただし受け取る側に贈与税(年110万円の基礎控除超の部分)
税金売った側に譲渡所得税の可能性(相続不動産の売却税と同じ枠組み)暦年課税・相続時精算課税の選択(制度の比較)。贈与契約書を必ず作成
注意時価より著しく安い売買は「みなし贈与」として贈与税の対象になり得ます。兄弟間でも価格の根拠(査定書等)を残すこと。名義変更は持分移転登記で行います

手段②:持分を放棄する

「お金は要らないから共有関係から抜けたい」場合、持分の放棄という一方的な意思表示で抜けられます。放棄された持分は他の共有者に(持分割合に応じて)帰属します。

手軽に見えますが、注意点が2つあります。①登記(持分移転登記)には他の共有者の協力が必要で、拒否されると登記引取請求の裁判が必要になり得ること。②税務上は、持分を取得した共有者に贈与税が課される扱いになること。「タダで抜ける」つもりが相手に税負担を生むため、事前に共有者へ伝えてから実行してください。

手段③:全員の合意で丸ごと売却する

誰も使わない不動産なら、共有者全員の合意で物件ごと売却し、代金を持分割合で分けるのが最もシンプルです。進め方・費用の精算・税金(各共有者が持分に応じて譲渡所得を申告、居住していた人は3,000万円控除の可能性)は、換価分割の売却フェーズと実務が共通します。売買契約には全員の署名(または委任状)が必要なため、窓口となる代表者と価格の下限を先に決めておくとスムーズです。

手段④:共有物分割請求(協議→調停→訴訟)

話し合いを拒否される・条件が折り合わない場合の法的手段です。民法上、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。流れは3段階です。

段階内容
1. 協議内容証明郵便などで分割協議を正式に申し入れます。「請求された共有者は協議に応じる義務がある」のが出発点
2. 調停まとまらなければ裁判所の調停で、調停委員を挟んで話し合います(任意的な手続きで、直接訴訟に進むことも可能です)
3. 訴訟共有物分割訴訟を提起。裁判所は次のいずれかを命じます:
現物分割(土地を物理的に分ける。建物や狭い土地では困難)
賠償分割(1人が取得し、他へ代償金を支払う)
競売(換価して代金を分ける。市場価格より安くなりがちで、全員が損をしやすい結末)
訴訟まで行くと「全員の負け」になりやすい

競売は市場売却より安値になりやすく、弁護士費用と年単位の時間もかかります。訴訟は「話し合いのテーブルに着かせるための圧力」として機能させ、途中の和解で決着させるのが実務の定石です。着手前に弁護士へ見通しを相談してください(弁護士費用の相場)。

第三者への「持分だけ売却」は最後の手段

自分の持分だけなら、他の共有者の同意なしに持分買取業者へ売却することも法律上は可能です。ただし、持分だけでは利用も転売も難しいため買取価格は時価の持分割合より大幅に安くなり、また残された共有者は見知らぬ業者と共有関係になって関係が悪化します。共有者への売却打診→共有物分割請求を尽くした後の、最後の選択肢と考えてください。

なお、共有者の一人が亡くなって相続人と連絡が取れない・誰か分からない状態になっている場合は、不在者財産管理人や所在等不明共有者の持分取得制度(2023年民法改正で新設)といった別の手続きが必要です(相続人が行方不明のときの手続き)。

よくある質問

固定資産税は誰が払うのですか?私だけ立て替えています。

共有者は持分に応じて管理費用を負担する義務があり、立て替えた分は他の共有者に求償(請求)できます。1年以内に支払わない共有者に対しては、相当の償金を支払ってその持分を取得できる制度もあります。まず請求の記録(内容証明等)を残すことから始めてください。

共有者の1人が勝手に住んでいます。家賃は請求できますか?

他の共有者は、自分の持分割合に応じた使用の対価(家賃相当額)を請求できるとされています。ただし遺産分割時の経緯(無償使用の合意など)によって結論が変わるため、請求前に専門家へ確認を。

解消のためにかかる登記や税金の費用が心配です。

持分移転登記の登録免許税は、売買・贈与なら固定資産税評価額(持分相当)の2%、共有物分割による移転は要件を満たせば軽減があります。譲渡所得税・贈与税と合わせ、どの手段が総コスト最小かは持分評価額次第なので、実行前に税理士・司法書士に試算してもらうのが確実です。

これから遺産分割です。共有を避けつつ公平に分けるには?

1人が取得して代償金で調整する代償分割か、売って分ける換価分割が二本柱です(換価分割とは)。協議書の作り方はこちらをご覧ください。

解消の合意ができたら、書面に残すところまでが解決です

持分の集約・売却の合意は、後日の紛争を防ぐため必ず書面化を。贈与で動かすなら贈与契約書を無料ツールで作成できます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な制度解説であり、個別の事情に応じた法的・税務的助言を行うものではありません。持分の評価・みなし贈与の判定・共有物分割訴訟の見通しは事案により大きく異なります。実行前に弁護士・司法書士・税理士へご相談ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)