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相続時精算課税制度をわかりやすく|年110万円の基礎控除で何が変わった?暦年贈与との選び方

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 9分で読めます

相続時精算課税は、名前のいかつさで敬遠されがちですが、仕組みは一言で言えます。贈与税を「後払い」にする制度です。生前の贈与は累計2,500万円まで贈与税ゼロ(超えた分も一律20%の仮払いのみ)。その代わり、相続のときに贈与した財産を相続財産に足し戻して、相続税でまとめて精算します。

そして2024年の改正で、この制度に年110万円の基礎控除が新設されました。110万円以内の贈与は申告不要で、相続時の足し戻しもなし。「7年ルール」で駆け込み贈与が効かなくなった暦年課税に対し、精算課税が高齢の親からの贈与の本命になりつつあります。ただし、一度選ぶと二度と暦年課税に戻れないという重大な性質があるため、この記事で仕組み・選び方・落とし穴を確認してください。

仕組み:図で理解する「後払い」

相続時精算課税は贈与税を後払いにする制度。生前は累計2,500万円まで贈与税ゼロ、相続時に贈与時の価額で足し戻して精算する
図:相続時精算課税 ― 「贈与税を後払いにする」制度。一度選ぶと暦年課税には戻れません。
  • 使える人:60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与
  • 手続き:最初の贈与の翌年2月1日〜3月15日に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必須。出し忘れると暦年課税のまま高額の贈与税が課されます
  • 精算のルール:相続時に贈与時の価額で足し戻し。すでに払った20%分は相続税から控除(払い過ぎは還付)

2024年改正の効果:年110万円の基礎控除

  • 年110万円までは申告不要・2,500万円の枠も消費しない・相続時の足し戻しもなし。つまり110万円以内の毎年贈与なら、7年ルールの影響を受けずに確実に財産を減らせます
  • この点で、死亡前7年分が足し戻される暦年課税より有利になるケースが増えました。特に高齢(余命が7年を切り得る年齢)の親から子への贈与では、精算課税の110万円が定石になりつつあります

それでも記録は必要です:110万円以内でも、贈与契約書+振込+受贈者管理の3点セットがなければ「名義預金」と認定されて元も子もありません。制度を選んでも、贈与の実体づくりは変わらず必須です。

暦年課税との選び方【比較表】

項目暦年課税相続時精算課税
非課税枠年110万円年110万円+累計2,500万円
相続時の足し戻し死亡前7年分(100万円控除)110万円超の分は全額(贈与時の価額で)
向く人若く健康な親/孫など相続人以外にも贈る高齢の親/値上がりしそうな資産・収益物件を早く移す
最大の注意駆け込み贈与が効かない一度選ぶと戻れない・届出必須
比較表。値上がりが見込まれる資産・収益物件は精算課税が特に効きます。

精算課税が特に効く2つの場面

  • 値上がりが見込まれる資産:足し戻しは「贈与時の価額」なので、その後の値上がり分は相続税がかからない(逆に値下がりしても贈与時の高い価額で課税される諸刃の剣です)
  • 収益物件:贈与後の家賃収入は子のものになり、親の相続財産の膨張を止められる

落とし穴:選ぶ前に必ず確認する4点

  1. 暦年課税に戻れない:その親からの贈与は生涯、精算課税。孫や別の親からの贈与は別枠で暦年可
  2. 自宅の土地を贈与すると小規模宅地等の特例(最大8割減)が使えなくなる:自宅の土地は贈与せず相続で渡すのが原則です
  3. 不動産の贈与は登録免許税2%・不動産取得税がかかる(相続なら0.4%・非課税)。移転コストの試算を
  4. 110万円超の贈与は毎回申告が必要。管理の手間と申告漏れのリスクを見込む
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よくある質問(FAQ)

父からは精算課税、母からは暦年課税にできますか?

できます。選択は贈与者ごとです。父からの精算課税110万円+母からの暦年110万円の併用も可能で、改正後の有力な組み合わせです。

足し戻された贈与財産にも相続税の基礎控除は使えますか?

はい。足し戻し後の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×人数)以下なら、結局相続税はかかりません。「うちは基礎控除以下」の家庭にとって、精算課税は実質「2,500万円を無税で前渡しできる制度」として機能します。

結局、どちらを選べばいいですか?

大づかみには、親が若く長期戦なら暦年、親が高齢・まとまった資産を早く動かすなら精算課税です。ただし資産構成(不動産の有無・特例)で結論が変わるため、選択届出の前に必ず税理士の試算を。戻れない選択です。

まとめ

  • 精算課税は「贈与税の後払い」。2,500万円まで無税で前渡しし、相続時に精算
  • 2024年新設の年110万円控除は申告不要・足し戻しなし。高齢の親からの贈与の本命に
  • 戻れない・届出必須・自宅の土地はNG(小規模宅地)・不動産は移転コスト増
  • 選択前に税理士の試算、選択後も贈与の記録(契約書・振込)は必須

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。適用要件・申告は税理士または税務署にご確認ください。税制は改正されることがあります(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。