贈与税の申告のやり方|期限・必要書類・申告漏れのペナルティ
贈与税の申告は、所得税の確定申告に比べて知られていません。申告するのは「もらった人」、期限は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日——この基本を知らずに期限を過ぎ、加算税を払う人が毎年います。
さらに、住宅取得資金の非課税やおしどり贈与のように「税額はゼロだが申告しないと特例が使えない」制度もあります。この記事では、誰が・いつ・どこに・何を出すのか、申告書の書き方、申告しなかった場合のペナルティまで整理します。贈与税がかかるかどうかの判断は「贈与税はいくらから?」をどうぞ。
①申告・納付は、もらった人(受贈者)が、翌年2月1日〜3月15日に住所地の税務署へ。あげた人は申告しない ②1年間にもらった合計が110万円以下なら不要。ただし住宅取得資金の非課税・おしどり贈与・相続時精算課税は税額ゼロでも申告が要件 ③申告書は第一表(暦年課税)と第二表(相続時精算課税)。特例税率なら戸籍謄本、各特例には証明書類を添付。電子申告なら一部省略できる ④申告しないと無申告加算税(自主申告5%・指摘後15〜30%)と延滞税。時効は原則6年だが、相続税の調査で発覚するのが実情
誰が・いつ・どこに——贈与税申告の基本
贈与税は財産をもらった人(受贈者)が申告し、納めます。あげた人に申告義務はありません。夫婦や親子でも、受贈者ごとに自分の分を申告します。
期間は贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで。提出先は受贈者の住所地の税務署で、窓口・郵送・電子申告で提出します。納付も3月15日までで、金融機関・税務署・電子納税・コンビニ納付(30万円以下)が使えます。一括納付が原則で、延納は一定の要件を満たす場合のみです。
申告が必要な人・不要な人——特例は税額ゼロでも申告
| 状況 | 申告 | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 1年間にもらった合計が110万円以下 | 不要 | 基礎控除の範囲内。複数の人からもらった合計で判定 |
| 110万円を超えた | 必要 | 超えた部分に課税。贈与契約書があれば根拠資料に |
| 住宅取得資金の非課税を使う | 必要 | 税額ゼロでも申告が要件。しないと非課税が使えず全額課税 |
| おしどり贈与(配偶者控除)を使う | 必要 | 同上。戸籍謄本・附票・登記事項証明書を添付 |
| 相続時精算課税を初めて選ぶ | 必要 | 選択届出書を期限内に提出。翌年以降は年110万円以下なら申告不要 |
| 生活費・教育費を都度もらった | 不要 | 扶養義務者間の通常必要な額は非課税財産 |
最も多い失敗は、「税額がゼロだから申告しなくてよい」と思い込んで特例を失うことです。住宅資金1,000万円をもらって申告を忘れれば、110万円を引いた890万円に贈与税がかかります(「住宅取得資金の贈与の非課税」)。
申告書の種類と書き方・添付書類
- 申告書第一表——暦年課税の基本の様式。財産の種類・評価額、贈与者の氏名と続柄、税額を記入。18歳以上が父母・祖父母からもらう「特例税率」と「一般税率」を区分して書く
- 第一表の二——住宅取得資金の非課税を使う場合の計算明細
- 第二表——相続時精算課税を使う場合。初回は「相続時精算課税選択届出書」を添付し、贈与者ごとに作成
- 添付書類——特例税率を使うなら受贈者の戸籍謄本(贈与者との続柄を示す)。おしどり贈与なら戸籍謄本・戸籍の附票・登記事項証明書。住宅資金なら登記事項証明書・売買契約書・所得の証明・省エネ住宅の証明書
- 評価の根拠——現金は額面。不動産は路線価や固定資産税評価額で計算(「土地・建物の評価額の出し方」)。上場株は贈与日の終値等
国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作れ、税額は自動計算されます。電子申告なら戸籍謄本などの添付書類は提出を省略し、手元で保管する扱いが認められています。
申告しなかったらどうなる——加算税・延滞税・時効
申告をしないまま期限を過ぎると無申告加算税がかかります。指摘前に自分から申告すれば5%、指摘後は15%(50万円超の部分20%、300万円超の部分30%)。さらに延滞税(年2〜9%程度)が加わり、悪質と判断されれば40%の重加算税です。
贈与税の時効(除斥期間)は、申告期限から原則6年、悪質な場合は7年。「6年たてば大丈夫」と考える人がいますが、贈与税の申告漏れは、贈与者が亡くなった後の相続税の税務調査で、過去10年分の預金の動きから発覚するのが実情です。そこで「6年以上前の贈与だった」と主張しても、贈与の証拠(契約書・振込・受贈者の管理)がなければ、贈与ではなく名義預金として相続財産に加えられます(「相続税の税務調査」)。
申告は、税金を納めるためだけでなく、「この年に確かに贈与があった」という公的な記録を残すという意味を持ちます。110万円を少し超える贈与をあえて行い、数千円の贈与税を納めて申告書を残す——この方法が使われるのは、そのためです。
申告の根拠は、贈与契約書から——誰から誰へ・いつ・いくらを残す贈与契約書の下書きを、画面のステップに沿って無料でつくれます。申告書の記入にもそのまま使えます。
贈与契約書をつくるよくある質問(FAQ)
父から100万円、祖母から50万円もらいました。申告は必要ですか?
必要です。基礎控除110万円はもらった人ごとに、その年にもらった財産の合計に対して1回だけ使えます。合計150万円なら、超える40万円に贈与税がかかります。「あげる人ごとに110万円」ではありません。逆にあげる側に人数の制限はなく、父が子3人に110万円ずつ渡すことは全員が非課税です。
贈与税を親が代わりに払ってもよいですか?
納付自体は誰の口座から行っても受け付けられますが、親が子の贈与税を負担すると、その税額分がさらに子への贈与になります。たとえば子の贈与税50万円を親が払えば、50万円を追加で贈与したことになり、翌年の申告に含める必要があります。贈与税は受贈者が自分の財産から納めるのが原則です。子に納税資金がない場合は、税額分を含めて贈与する設計にし、その全体を申告してください。
申告した後で、もらった額を間違えていたことに気づきました。
税額が少なかった場合は修正申告、多かった場合は更正の請求(申告期限から6年以内)で直せます。修正申告は税務署の指摘前に自分から行えば過少申告加算税はかからず、不足分の本税と延滞税だけで済みます。財産の評価(不動産の路線価や株式の評価)の誤りは、税理士に確認してもらってから訂正すると安全です。訂正の根拠として、贈与契約書や振込記録を揃えておいてください。
贈与を受けたのが子で、まだ未成年です。誰が申告しますか?
申告義務は受贈者である子にあり、未成年の場合は親権者が子の代理として申告書を作成・提出します。申告書の氏名欄は子の名前で、親権者が法定代理人として署名します。納税も子の財産(もらった財産)から行うのが原則です。孫への贈与で祖父母が申告を代行することもありますが、贈与の実質を保つには、通帳や印鑑を親権者が管理し、申告も親権者が行う形にしてください。
まとめ
贈与税の申告はもらった人が、翌年2月1日〜3月15日に、自分の住所地の税務署へ。110万円以下なら不要ですが、住宅資金の非課税・おしどり贈与・相続時精算課税は税額ゼロでも申告が要件で、忘れると特例を失います。申告書は第一表(暦年)・第二表(精算課税)、特例税率なら戸籍謄本、各特例に証明書類を添付。申告しなければ無申告加算税と延滞税、時効の6年を待つより相続税の調査で発覚するのが実情です。申告は贈与の公的な記録——契約書・振込とともに、贈与を確かなものにする一歩です。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。