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生前の備え

生命保険の契約者を子に変える|贈与税がかかるタイミングと落とし穴

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

親が掛けている保険の契約者を子に変えたい——「名義を変えたら贈与税がかかるのでは」と心配になりますが、変更した時点では贈与税はかかりません。課税は「お金を受け取ったとき」に「誰が保険料を払っていたか」で決まります。

課税のタイミングと計算、支払調書、相続対策としての使い方と落とし穴、契約者が亡くなった場合を整理します。贈与税の基本は「贈与税はいくらから?」をどうぞ。

この記事の要点

①契約者変更は権利が移るだけで、変更時点では贈与税も所得税もかからない ②課税は変更後に解約返戻金・満期金・死亡保険金を受け取ったとき。親が負担した保険料に対応する部分は贈与(親の死亡なら相続)、子が負担した部分は子の一時所得 ③2018年以降、解約返戻金100万円超の契約者変更は保険会社が税務署に調書を提出する ④低解約返戻金型を使った節税は否認のリスク。契約者の死亡時は「生命保険契約に関する権利」として相続財産

変更の時点では課税されない——権利が移るだけ

契約者変更は請求書を保険会社に出すだけで、被保険者の同意があれば完了し、贈与税も所得税もかかりません。移るのは「契約上の権利」であって、まだ誰もお金を受け取っていないからです。「名義を変えたから、その後はすべて子のもの」と考えるのは誤りです。課税は、変更後に保険からお金が出たときに、「そのお金の原資となる保険料を誰が払ったか」で判定されます。次節がその仕組みです。

課税されるのは受け取ったとき——保険料負担者で判定

受け取るお金親が負担した保険料に対応する部分子が負担した保険料に対応する部分
解約返戻金(子が解約)親から子への贈与(贈与税)子の一時所得
満期保険金(子が受取)親から子への贈与(贈与税)子の一時所得
死亡保険金(被保険者=親、受取人=子)親の死亡による取得=みなし相続財産(相続税・非課税枠の対象)子の一時所得
契約者変更後に受け取るお金の課税(2026年8月時点)。

受け取った額を、親と子の払込保険料の比で按分します。親が10年払い、子が5年払った後に満期金1,500万円なら、おおむね3分の2が贈与、3分の1が一時所得です。変更後に子がすぐ解約して返戻金を受け取れば、ほぼ全額が親からの贈与となり、110万円を超える部分に贈与税がかかります。

支払調書——名義変更は税務署に把握される

2018年以降、解約返戻金相当額が100万円を超える契約の契約者変更は、保険会社が税務署に「保険契約者等の異動に関する調書」を提出します。旧契約者・新契約者・解約返戻金相当額・払込総額が記載され、把握されます。変更後に受け取ったお金は、親負担分を贈与として正しく申告する必要があり、怠れば相続税の調査で指摘され加算税の対象になります(「贈与税の申告のやり方」)。

相続対策としての使い方と落とし穴・契約者が死亡した場合

相続対策としての使い方——被保険者が親の一般的な契約は、死亡保険金として非課税枠を使えるため変更せずに持つのが基本です。変更が使われるのは、①親が契約者で被保険者が子の契約(親の死亡時に解約返戻金相当額で相続財産になる)を生前に子へ移す場合、②親が保険料を負担し続ける契約を子名義にして、毎年の保険料相当額を贈与として整理する場合です。

落とし穴——「低解約返戻金型」の保険を返戻金が低い時期に子へ名義変更し、跳ね上がったところで解約する手法がありましたが、現在は権利の実質的な価値で評価される扱いが強まり、支払調書もあるため、否認のリスクがあります。税理士に確認せずに行わないでください。

契約者が亡くなった場合——契約者=親・被保険者=子の契約は、解約返戻金相当額で相続財産として遺産分割の対象になり、引き継ぐ人が契約者変更をします。非課税枠は使えません。親が保険料を払い続けて子に残す方法は、贈与契約書と振込の記録と組み合わせると、税務調査で説明しやすくなります(「暦年贈与とは」)。

保険料を親が払い続けるなら、贈与の記録を——毎年の保険料相当額を子への贈与として整理する贈与契約書の下書きを、画面のステップに沿って無料でつくれます。名義変更の後の説明資料に。

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よくある質問(FAQ)

契約者を子に変えた後、保険料は子が払います。それでも親が払った分は贈与ですか?

そうです。変更前に親が払った保険料に対応する部分は、将来受け取ったときに贈与(または相続)として扱われます。変更後に子が払った分は一時所得の対象です。保険会社に「変更時点までの払込保険料の総額」を証明してもらい、記録を残してください。

名義変更した保険を、子がすぐ解約したらどうなりますか?

解約返戻金のほぼ全額が「親が払った保険料に対応する部分」なので、親から子への贈与として、110万円を超える部分に贈与税がかかります。解約返戻金が500万円なら、390万円に対する贈与税(約53万円)です。名義変更だけで贈与税がかからないのは「まだ受け取っていない」からで、受け取れば課税されます。まとまった額を子に移したいなら、暦年贈与や相続時精算課税との比較が必要です。

親が契約者で被保険者が私(子)の保険があります。今のうちに名義を変えるべきですか?

親が亡くなると解約返戻金相当額が相続財産になり、非課税枠も使えません。生前に契約者を子に変えれば親の相続財産から外れますが、将来子が受け取るときに親負担分が贈与として課税されます。相続税と贈与税のどちらが軽いか、変更時の解約返戻金相当額で比較して判断してください。相続税がかからない家なら効果はありません。

契約者変更に被保険者の同意は必要ですか?

必要です。契約者変更には被保険者の同意が要ります(被保険者が契約者本人なら不要)。判断能力がなければ同意できず、変更できません。請求書に旧契約者・新契約者・被保険者が署名し、本人確認書類を添えて提出します。変更後は引き落とし口座も新契約者のものに変えてください。

まとめ

生命保険の契約者を子に変えても、変更の時点では贈与税はかかりません。課税は解約返戻金・満期金・死亡保険金を受け取ったときに、親が負担した保険料に対応する部分が贈与または相続として扱われる仕組みです。2018年以降、解約返戻金100万円超の名義変更は支払調書で税務署に把握されます。名義変更後にすぐ解約すればほぼ全額が贈与、低解約返戻金型を使った節税は否認のリスク。相続対策に使うなら、変更時の解約返戻金相当額で相続税と贈与税を比較し、親が払い続ける保険料は贈与契約書と振込で記録してください。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)