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成年後見・任意後見

成年後見制度の費用はいくら?申立費用と毎年かかる報酬を総額シミュレーション

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 9分で読めます

成年後見制度(法定後見)の費用は、「申立てのときに1回だけかかる費用」と「本人が亡くなるまで毎年かかり続ける後見人報酬」の2階建てで考える必要があります。

申立て自体の実費は1〜2万円程度と安いのですが、本当のコストは2階部分。専門職(司法書士・弁護士など)が後見人に就くと、月2〜6万円の報酬が本人が亡くなるまで続き、10年で数百万円規模になります。この記事では、内訳・相場・総額シミュレーションと、費用を抑える方法・助成制度までを一気に整理します。

この記事の要点

①申立時の実費は1〜2万円程度。鑑定が入れば+10〜20万円、申立書類の作成を専門家に頼めば+10〜20万円 ②後見人報酬の目安は管理財産に応じて月2万円/3〜4万円/5〜6万円の3段階。金額は家庭裁判所が決める ③財産2,000万円・10年利用なら総額400万円前後。報酬は本人の財産から、亡くなるまで払い続ける

費用の全体像――「一時費用」と「続く報酬」の2階建て

成年後見制度の費用の2階建て構造。申立時の一時費用と、本人が亡くなるまで毎年続く後見人報酬図:費用の2階建て構造。見積もりで見落とされがちなのは、終わりの見えない2階部分です。 1階:申立時の一時費用(1回だけ) 実費1〜2万円程度 + 鑑定があれば10〜20万円 + 専門家依頼なら10〜20万円 2階:後見人報酬(本人が亡くなるまで毎年続く) 基本報酬 月2〜6万円(財産額で3段階)+ 特別な事務があった年は付加報酬 10年続けば数百万円規模――費用の本体はこちら ※親族が後見人となり報酬付与を申し立てない場合、2階部分はかからない(監督人が付けば監督人報酬あり)
図:費用の2階建て構造。見積もりで見落とされがちなのは、終わりの見えない2階部分です。

後見の申立てから開始までの手続きの流れは「成年後見の申立て方法」で解説しています。以下、費用だけを深掘りします。

申立時にかかる費用の内訳

項目金額の目安
申立手数料(収入印紙)800円
後見登記の手数料(収入印紙)2,600円
連絡用の郵便切手3,000〜5,000円程度(裁判所ごとに指定)
医師の診断書数千円〜1万円程度
戸籍・住民票・登記されていないことの証明書など数千円
鑑定費用(実施された場合)10〜20万円程度(実施されるのは一部の事案)
専門家(司法書士・弁護士)への申立書類作成の依頼10〜20万円程度(自分で申し立てれば不要)
2026年8月時点の一般的な水準。実費だけなら1〜2万円程度に収まります。

毎年かかる報酬――基本報酬・付加報酬・監督人報酬

  • 基本報酬(専門職後見人の目安):管理財産1,000万円以下=月額2万円/1,000万円超〜5,000万円以下=月額3〜4万円/5,000万円超=月額5〜6万円。金額は家庭裁判所が審判で決定し、家族との交渉で決めることはできません
  • 付加報酬:自宅の売却・遺産分割・保険金請求・訴訟対応など「特別な事務」があった年は、基本報酬の50%の範囲内を目安に加算されます
  • 後見監督人の報酬:親族後見人に弁護士等の監督人が付いた場合、月額1〜2万円(管理財産5,000万円超では月額2.5〜3万円)程度が別途かかります
  • 親族後見人の報酬:報酬付与の申立てをすれば親族でも受け取れます(水準は専門職と同程度か事案によりやや低め)。申し立てなければ無報酬です
「途中でやめる」ことはできません

いったん始まった後見は、本人の判断能力が回復するか亡くなるまで続き、「報酬が高いから」という理由では終了できません。後見人の交代を求めることも簡単ではありません(成年後見をやめたいときにできること)。だからこそ、始める前の総額見積もりと選択肢の比較が重要です。

総額シミュレーション

例:85歳の母(預貯金2,000万円)に専門職後見人が就き、10年間利用した場合

  1. 申立時:実費約1.5万円+専門家に申立てを依頼して15万円 = 約16.5万円
  2. 基本報酬:管理財産1,000万円超なので月3.5万円 × 12か月 × 10年 = 420万円
  3. 付加報酬:途中で自宅売却と遺産分割対応があった2年分の加算 = 約30万円
  4. 総額:約470万円が本人の財産から支払われる計算。財産が月々の報酬で目減りし、途中から下の報酬区分に移ることを考慮しても、10年利用なら総額300万〜500万円規模を見込むのが現実的です

親族が後見人になり報酬付与を申し立てない場合でも、監督人(月1.5万円)が10年付けば約180万円。「家族がやれば無料」とは限らない点に注意してください。

費用を抑える方法と、払えない場合の助成

  • 親族後見人+報酬付与を申し立てない。最も確実な圧縮方法ですが、後見人に誰が選ばれるかは家庭裁判所の判断で、財産が大きい・親族間に対立があるケースでは専門職が選任されやすいのが実情です(制度の全体像は「後見人制度とは」「法定後見の3類型」参照)
  • 市民後見人・法人後見。自治体が養成する市民後見人が就くと報酬が低額または無報酬になる場合があります(市民後見人とは)
  • 成年後見制度利用支援事業(助成)。多くの市区町村で、住民税非課税や生活保護受給などの要件を満たす場合に、報酬の全部または一部の助成を受けられます。本人の住所地の市区町村・地域包括支援センターに確認を
  • まだ判断能力があるなら、別の制度を比較する。元気なうちに準備できるなら、後見人を自分で選べて報酬も設計できる任意後見(始め方)や、月々の報酬なしで財産管理を家族に託せる家族信託が有力な代替です。徹底比較は「家族信託と成年後見制度の違い」をご覧ください
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よくある質問(FAQ)

成年後見人の報酬は誰が払うのですか?家族の持ち出しになりますか?

本人(被後見人)の財産から支払われます。家族の財布から出すものではありませんが、本人の財産=将来の相続財産が毎月確実に減っていくことに変わりはありません。

本人の財産が少なく、報酬を払えない場合はどうなりますか?

多くの市区町村に成年後見制度利用支援事業があり、要件を満たせば報酬の全部または一部の助成を受けられます。要件・金額は自治体ごとに異なるため、市区町村か地域包括支援センターへ確認してください。

家族が後見人になれば、報酬はかからないのですか?

報酬付与を申し立てなければ後見人報酬はかかりません。ただし家裁の判断で監督人が付くと月1〜3万円程度の監督人報酬が発生します。専門職が選任されやすい条件(財産が大きい・親族間対立)にも注意が必要です。

後見が始まった後、費用が高いのでやめることはできますか?

原則できません。本人の判断能力回復か死亡まで続き、費用を理由とする終了は認められません。始める前に総額を見積もり、任意後見・家族信託と比較しておくことが唯一の対策です(成年後見を使いたくない場合の代替策)。

まとめ

  • 費用は「申立時の一時費用」+「亡くなるまで続く報酬」の2階建て。本体は2階の報酬
  • 基本報酬は財産額で月2万/3〜4万/5〜6万円の3段階。付加報酬・監督人報酬が上乗せされ得る
  • 10年利用の総額は300万〜500万円規模。報酬は本人の財産から支払われ、途中でやめられない
  • 圧縮の王道は親族後見人と助成制度。判断能力があるうちなら任意後見・家族信託との比較を

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参考にした一次情報・公的資料

本記事の記述は、以下の法令・官公庁・公的機関の公表資料にもとづいています。制度や手数料は改正されることがあるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法的アドバイスではありません。報酬額は家庭裁判所が個別事案ごとに決定するものであり、本文の金額は目安です(2026年8月時点の一般的な水準にもとづきます)。助成制度の内容は自治体により異なります。個別の事情については司法書士・弁護士等の専門家にご相談ください。