遺言書の検認とは?流れ・必要書類・費用・やってはいけない開封|検認が不要なケースも解説
故人の自宅や貸金庫から、封のされた遺言書が出てきた――そのとき最初に守るべきルールはひとつです。開封しないでください。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立会いのもと開封しなければならず、勝手に開けると5万円以下の過料の対象になり得ます(民法1005条)。
そして、自筆証書遺言(法務局保管を除く)を相続手続きに使うには、家庭裁判所の検認という手続きが必要です。結論から流れを言うと、①開封せず保管 → ②家庭裁判所へ検認を申立て → ③1〜2か月後の検認期日に裁判所で開封・確認 → ④検認済証明書付きの遺言書で登記・銀行手続きへ、となります。この記事で、必要書類から「開封してしまった場合」まで、全部わかります。
検認とは何か:偽造を防ぐ「証拠保全」の手続き
検認は、遺言書の形状・日付・署名などその時点の状態を裁判所が記録し、以後の偽造・変造を防ぐための手続きです。ここで最重要の理解がひとつ。
検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。検認を通っても、方式違反や遺言能力を理由に後から無効を争うことはできますし、逆に検認前でも遺言が無効になるわけではありません。「検認済=お墨付き」ではない点を、相続人全員が正しく理解しておくと無用な争いを防げます。
検認が不要なケース
- 公正証書遺言(原本が公証役場に保管されているため)
- 法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言(遺言書情報証明書を取得して手続きへ)
逆に言えば、自宅・貸金庫・タンスから出てきた自筆の遺言書は、封の有無にかかわらずすべて検認が必要です(封のない遺言書も検認対象です。開封の禁止と検認の要否は別のルールです)。
検認の流れと必要書類
① 申立ての準備
- 申立てる人:遺言書の保管者、または発見した相続人(義務です。遅滞なく申立てる必要があります)
- 申立先:故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
- 費用:収入印紙800円(遺言書1通につき)+連絡用の郵便切手(数百円〜・裁判所により指定)
- 必要書類:検認申立書(裁判所サイトに書式)/故人の出生から死亡までの連続した戸籍/相続人全員の戸籍謄本(相続人が兄弟姉妹の場合等は収集範囲が広がります)
時間がかかるのは戸籍集めです。2024年開始の広域交付で最寄り窓口でもまとめて取れるようになったため、発見したらすぐ収集に着手を(集め方は「相続で必要な戸籍の集め方」へ)。
② 検認期日:当日やること
- 申立てから1〜2か月程度で、裁判所が期日を指定し、相続人全員に通知します
- 出席は任意です。全員が揃わなくても検認は行われ、欠席しても不利益はありません(申立人は遺言書を持参するため出席必須)
- 期日では、裁判官が出席者の前で開封し、遺言書の状態を確認・記録します。所要時間は通常10〜15分程度です
③ 検認済証明書の申請
検認後、検認済証明書(1通150円の収入印紙)の付いた遺言書を受け取ります。これでようやく、登記・銀行など各手続きで「使える」状態になります。証明書の申請を忘れて帰らないよう注意してください。
開封してしまった場合・そのほかの不安に答えます
うっかり開封してしまった
遺言自体は無効になりません。過料の規定はありますが、悪意のない開封で実際に科される例はまれとされます。やるべきことは、①それ以上触らずそのままの状態で保管、②速やかに検認を申立て、③期日で正直に経緯を説明、の3つです。絶対にやってはいけないのは、破棄・隠匿・書き換えで、これは相続欠格(相続権の喪失)につながる重大行為です。
検認を経ずに手続きしようとしたら
登記も金融機関も、検認済証明書のない自筆遺言は受け付けません。また検認を怠ること自体にも過料の規定があります。近道はないので、発見→即申立てが最速ルートです。
複数の遺言書が出てきた
すべて検認の対象です。内容が抵触する部分は日付の新しい遺言が優先します。自己判断で古い方を処分せず、全部を裁判所へ。
検認が終わったら:次の手続き
- 遺言執行者の指定があれば、執行者が就任通知→財産目録→解約・登記を進めます(「遺言執行者とは」・就職通知書ツール)
- 遺言に記載のない財産があれば、その部分は遺産分割協議書が必要です(遺産分割協議書の記事・無料ツール)
- 提出先が複数あるなら法定相続情報一覧図を取得して並行処理(法定相続情報一覧図の記事)
検認後の手続きを、無料でつくる
検認後の手続きに必要な遺産分割協議書(遺言に記載のない財産の分)と、執行者の就職通知書は無料ツールで作成できます。ご自身の遺言をこれから作る方は、遺言書ツール+保管制度で「検認のいらない遺言」をどうぞ。
よくある質問(FAQ)
検認にはどのくらいの期間を見ておけばいいですか?
戸籍収集に2〜4週間、申立てから期日まで1〜2か月、トータル2〜3か月が目安です。相続税の申告(10か月)がある場合は、逆算して早めに動いてください。
他の相続人に知られずに検認できますか?
できません。裁判所から相続人全員に期日の通知が送られる仕組みです。むしろこの通知が「遺言書の存在を全員が知る」公式な機会になり、隠匿の疑いを防ぎます。
遺言の内容に納得できません。検認で異議を言えますか?
検認は状態の確認の場であり、有効性や内容の当否を争う場ではありません。無効を主張する場合は別途、調停・訴訟(遺言無効確認)で争うことになります。遺留分の請求(1年の期限)も別手続きです。
自分が将来遺す側です。家族に検認の負担をかけない方法は?
法務局の保管制度(3,900円)を使えば検認が不要になり、この記事の手続きがまるごと消えます。自筆で書くなら保管制度とセットが現在の定石です。
まとめ
- 封印のある遺言書は開封厳禁。発見したら家庭裁判所へ検認の申立てを(義務)
- 費用は印紙800円+切手。期間はトータル2〜3か月。戸籍集めから即着手
- 検認は証拠保全であって有効性の保証ではない。開封してしまっても遺言は無効にならない
- 公正証書・法務局保管なら検認不要。遺す側は保管制度の利用を
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。