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生前の備え

認知症の親が結んだ契約は取り消せる?取消しの4つの道と再発防止

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

見覚えのない浄水器、大量の健康食品、屋根工事の契約書——認知症の親が訪問販売や電話勧誘で契約させられていた。取り消せる道は複数ありますが、道ごとに期限と証拠が違います。

取消しの4つの道、証拠の集め方と相談先、二度と起こさないための備えを整理します。後見の類型と取消権の基本は「法定後見の3類型」をどうぞ。

この記事の要点

①契約時に本人に意思能力がなければ契約は無効。診断書・介護記録で当時の状態を示す ②訪問販売・電話勧誘は書面受領から8日以内ならクーリングオフ。書面不備なら期間後も可。過量契約は1年以内に解除可 ③判断力の低下につけ込んだ勧誘・過量契約・困惑させる勧誘は、消費者契約法で1年以内に取消し ④成年後見・保佐・補助が付いていれば後見人等が取り消せる。再発防止は後見・家族信託・見守り・電話対策の組み合わせ

取消しの4つの道——どれが使えるかを見極める

使える条件期限・注意
①意思能力なしによる無効契約時に本人が契約の意味を理解できない状態だった期限なし。当時の状態を診断書・介護記録・要介護認定の資料で示す必要がある
②クーリングオフ訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入など。店舗に自分で出向いた契約は対象外契約書面を受け取った日から8日以内(連鎖販売は20日)。書面に不備があれば期間経過後も可。過量販売は1年以内に解除可
③消費者契約法の取消し判断力の低下につけ込み不安をあおった、過量な契約、長時間居座るなど困惑させた、重要事項の不実告知気づいてから1年以内、契約から5年以内
④後見等の取消権成年後見・保佐・補助が付いていて、本人が単独で契約した後見人等が取り消せる。日用品の購入など日常生活の契約は除く
認知症の親の契約を取り消す4つの道(2026年8月時点)。

まず②クーリングオフの期限内かを確認します。期限内なら理由を問わず解除でき最も確実。過ぎていれば③と①、後見が付いていれば④。複数の道を同時に主張して構いません。

手順——証拠を集め、消費生活センターに相談し、書面で通知する

  1. 契約書・領収書・商品を確保する——契約日、業者名、金額、勧誘の方法を確認。商品は使わず、工事は着手前なら止める。書面にクーリングオフの説明など法定の記載があるかも確認
  2. 親の状態の証拠を集める——診断書、介護記録、主治医意見書。ケアマネジャーやヘルパーの証言も有効
  3. 消費生活センター(188)に相談する——どの道が使えるか、書面の書き方、業者との交渉を助言してくれる
  4. 書面で通知する——内容証明郵便など記録の残る方法で。口頭では証拠が残らない
  5. 返金されなければ——クレジットなら信販会社への支払停止の抗弁、弁護士や法テラスへ。少額なら少額訴訟も

「親が納得して契約した」と言われても、判断力の低下につけ込んだ勧誘なら取り消せます。親に契約の内容を説明してもらい、理解の程度を確かめてください。

後見・保佐・補助の取消権——付いていれば強い、付いていなければ申立て

成年後見・保佐・補助が付いていれば、本人が単独で結んだ契約を後見人等が取り消せます。後見はほぼすべての契約、保佐は重要な行為、補助は家庭裁判所が定めた行為が対象で、業者に通知するだけで取り消せる強い権利です。日用品の購入は除きます。

契約トラブルが繰り返されるなら、保佐や補助の申立てを検討する時期です。判断能力がまだ相応にあるなら、任意後見や家族信託が、本人の自由を残しつつ守る手段になります(「家族信託と成年後見制度の違い」)。

再発防止——財産を動かせなくする・接触を減らす

再発防止は「財産を動かせなくする」と「接触を減らす」の二方向です。

  • 財産を動かせなくする——家族信託で預金や不動産を受託者の管理に移せば、契約しても支払いの原資が本人の手元にない。通帳やカードの管理を家族に移し、クレジットカードは限度額を下げるか解約する
  • 接触を減らす——固定電話に迷惑電話防止機能や留守番設定、玄関に「訪問販売お断り」の表示、インターホン越しの対応。勧誘を受けたら家族に連絡する約束を
  • 見守りを組む——家族の定期訪問、地域包括への相談、ケアマネジャーやヘルパーに「不審な契約があれば知らせてほしい」と依頼(「見守り契約とは」)
  • 電話番号の変更——一度契約した高齢者は業者間で情報が回り、繰り返し狙われる

判断力がまだあるなら、任意後見契約で「低下したら子が財産管理を引き受ける」と本人が決めておくことが、意思を尊重した備えです。

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よくある質問(FAQ)

契約から3か月たっています。もう取り消せませんか?

クーリングオフの8日は過ぎていますが、①契約書面に法定の記載漏れがあればクーリングオフは今でも可能、②判断力の低下につけ込んだ勧誘や過量契約なら消費者契約法で1年以内に取消し、③契約時に意思能力がなければ期限なく無効を主張できます。契約書と親の当時の状態がわかる資料を持って、消費生活センターに相談してください。どの道が使えるかを一緒に整理してもらえます。

親は「自分で決めた」と言い、取消しに反対しています。

成年後見・保佐・補助が付いていれば後見人等の判断で取り消せます。付いていなければ、本人の意思に反して家族が取り消すことは原則できないため、契約の内容と支払い総額を本人と一緒に確認し、理解しているかを確かめてください。理解できていなければ意思能力の問題として消費生活センターに相談します。繰り返すなら保佐や補助の申立てを検討する段階です。

リフォーム工事がすでに終わっています。取り消せますか?

工事が完了していても取り消せます。クーリングオフで解除した場合、業者は代金を請求できず、原状回復も業者の負担が原則です。業者が争えば交渉や訴訟になるため、工事の内容・金額・勧誘の状況を記録し、消費生活センターや弁護士に相談してください。工事の必要性がなかったことを示す第三者の点検結果も有効です。

保険を何本も契約させられていました。解約できますか?

契約時に意思能力がなければ無効、判断力の低下につけ込んだ勧誘なら消費者契約法の取消しの対象です。保険会社には高齢者への販売ルールがあり、家族の同席や意向確認を怠っていれば、契約の取消しや解約返戻金の見直しに応じることがあります。保険会社の苦情窓口、解決しなければ生命保険協会の相談窓口へ。

まとめ

認知症の親が結んだ契約を取り消す道は4つ——①意思能力がなければ無効(期限なし・証拠が要る)、②訪問販売・電話勧誘は8日以内のクーリングオフ(書面不備なら期間後も)、③判断力の低下につけ込んだ勧誘は消費者契約法で1年以内に取消し、④後見等が付いていれば取消権。契約書と診断書を集め、消費生活センター(188)に相談し、内容証明で通知する。再発防止は家族信託や後見で財産を動かせなくし、電話・訪問の接触を減らし、見守りを組む——本人の判断力があるうちなら、任意後見で本人が守り方を決められます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務・宗教慣習の個別助言を行うものではありません。費用や給付・取り扱いは地域・保険者・事業者により異なり、変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)