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生前の備え

認知症で保険が解約できない!給付金請求・解約の代理はどうする?指定代理請求と契約者代理制度

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 9分で読めます

「親の入院給付金を請求したいのに、本人でないと受け付けられないと言われた」「使っていない保険を解約して介護費に充てたいのに動かせない」――預金口座と同じように、保険契約も認知症で「凍結」します。解約も、請求も、住所変更ですら、原則は契約者本人の意思確認が必要だからです。

結論から。打ち手は3つ――①指定代理請求制度(給付金・保険金の請求を代理)、②契約者代理制度(解約などの契約者手続きを代理)、③成年後見(事後の最終手段)です。①②は本人に判断能力があるうちの事前登録が原則。この記事では3つの使い分けと、今日できる事前登録、そして「そもそもどんな保険に入っているか分からない」場合の探し方まで解説します。

保険の「凍結」で起きること

  • 入院・手術給付金の請求ができない――認知症で本人が請求手続きをできない状態こそ給付金が必要なのに、受け取れないジレンマが起きます
  • 解約して解約返戻金を介護費に充てることができない――貯蓄性の保険が「使えない資産」になります
  • 保険料の引落とし口座が凍結・残高不足になると、失効のリスク――口座凍結と連鎖する事故です
  • 住所変更・受取人変更などの契約内容の変更も止まります

打ち手①:指定代理請求制度(給付金の請求を代理)

認知症と保険における3つの代理ルート。指定代理請求、契約者代理制度、成年後見と、契約が分からない場合の照会制度を示す図
図:認知症と保険 ― 3つの代理ルートと事前登録。保険の認知症対策は「事前登録」が9割です。
  • 被保険者本人が請求できない「特別な事情」があるとき、あらかじめ指定した家族が給付金・保険金を代理請求できる制度。認知症はこの特別な事情の典型です
  • 指定代理請求人の指定(登録)は、契約者に判断能力があるうちに行うのが原則。多くの保険会社で無料・書類1枚で追加できます
  • カバー範囲は「受取人=本人」の給付金等の請求まで。解約や契約変更はできません――そこで次の②です

打ち手②:契約者代理制度(解約などの手続きを代理)

  • 近年、多くの保険会社が導入した制度で、あらかじめ指定した代理人が、解約・契約者貸付・住所変更などの契約者の手続きを代理できます(会社により名称・範囲が異なります)
  • これも事前登録が前提。親が元気なうちに、加入している全社で「指定代理請求人+契約者代理人」の登録状況を棚卸しするのが、保険の認知症対策のほぼすべてです
  • あわせて家族登録制度(家族が契約情報の照会や案内を受け取れる制度)も登録しておくと、いざという時に契約内容をすぐ確認できます。※家族登録は情報提供のみで、手続きの代理はできません

打ち手③:成年後見(事後の最終手段)+契約が分からない場合

  • すでに判断能力が失われ、事前登録もない場合は、成年後見人を選任すれば解約・請求が可能になります。ただし費用と拘束が続く制度なので、必要性を見極めてから
  • どの保険に入っているか分からない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」で一括照会できます。認知症等で本人が照会できない場合は家族が利用でき、加入契約の有無が各社から回答されます(利用料は1回3,000円程度)
  • 保険料の引落とし口座は、凍結リスクの低い口座への変更や前納も検討を。失効してからでは元に戻せない契約もあります
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保険の棚卸しを、無料でつくる

親の保険の棚卸しには、エンディングノートツール(無料・登録不要)の保険欄が便利です。契約ごとに指定代理請求人・契約者代理人の登録有無を記録し、家族で共有できます。

よくある質問(FAQ)

すでに軽い認知症と診断されています。今から代理人の登録はできますか?

可能性はあります。登録に必要なのは手続き時点での意思能力であり、診断の有無だけで一律に断られるわけではありません。症状が軽く、本人が制度を理解して署名できるうちに、できるだけ早く保険会社に相談してください。進行してからでは登録できなくなります。

解約返戻金を介護費に使いたいのですが、成年後見人なら解約できますか?

できます。ただし後見人の判断基準は「本人の利益」です。本人の医療・介護費に充てるための解約は認められやすい一方、相続対策や家族の都合での解約はできません。解約より契約者貸付で足りる場合はそちらが選ばれることもあります。

家族信託で保険もまとめて管理できませんか?

保険契約そのものは信託財産にできません(契約上の地位は信託に乗らないのが原則)。信託でカバーするのは預金・自宅などの財産で、保険は指定代理請求+契約者代理制度で対策する――という「信託+保険の事前登録」の二本立てが正解です。

まとめ

  • 保険も認知症で凍結する。請求・解約・変更のすべてに本人の意思確認が必要
  • 給付金は指定代理請求制度、解約などは契約者代理制度。どちらも事前登録が命
  • 事後は成年後見が最終手段。契約が不明なら生命保険契約照会制度で一括照会
  • 保険は信託に乗らない。信託(預金・自宅)+保険の代理登録の二本立てで備える

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。契約者代理制度の名称・範囲は保険会社により異なります。詳細は各社にご確認ください(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。