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相続人がいないとどうなる?相続人不存在の手続きと特別縁故者・国庫帰属の流れ
身寄りのないおひとりさま、相続人全員が放棄した借金相続──「相続人がいない」とき、遺産が自動的に国のものになるわけではありません。家庭裁判所が選任する相続財産清算人による1年がかりの清算手続きを経て、債権者への支払い→特別縁故者(内縁の妻など)への分与→残りの国庫帰属、という順で処理されます。
この記事では、この手続きの流れと費用、内縁のパートナーや世話をした人が財産を受け取れる「特別縁故者」の制度、そして生前にできる備えを解説します。
「相続人がいない」となる2つのパターン
| パターン | 内容 |
|---|---|
| ① | もともと相続人がいない──配偶者・子・親・兄弟姉妹(とその代襲者)が誰もいない。おひとりさまの増加で年々増えているケースです |
| ② | 全員が相続放棄した──借金や処分困難な不動産を全員が放棄し、相続する人がいなくなった(相続放棄の手続き) |
注意したいのは、戸籍上の相続人が1人でもいれば「不存在」ではないことです。何十年も音信不通の兄弟がいる場合は「相続人が行方不明」という別の手続きになります(行方不明の相続人がいる場合)。また、遺言で全財産の受取人が決まっていれば、相続人がいなくても清算手続きは原則不要です(後述)。
手続きの全体フロー|清算から国庫帰属まで
手続きの主役は、家庭裁判所が選任する相続財産清算人(多くは弁護士・司法書士。2023年の民法改正で「相続財産管理人」から名称と手続きが整理されました)です。清算人が財産を管理・換価し、公告で相続人と債権者を確定させながら、順番に支払っていきます。
特別縁故者とは|内縁の妻・世話をした人が受け取る道
清算後に財産が残った場合、特別縁故者──故人と特別の縁故があった人──は、家庭裁判所に申し立てて財産の全部または一部の分与を受けられる可能性があります。
| 認められ得る典型例 | ポイント |
|---|---|
| ・生計を同じくしていた人(内縁の妻・夫、事実上の養子) ・療養看護に努めた人(献身的に介護した親族・知人) ・その他特別の縁故(長年支援した団体等が認められた例も) | ・相続人捜索の公告期間満了後3か月以内に申立て ・分与するか・いくらかは家庭裁判所の裁量で、全額もらえるとは限らない ・報酬を得ていた介護職・家政婦などは原則対象外 |
内縁のパートナーに残したいなら、特別縁故者の制度は最後の敗者復活戦にすぎません。認められるかは裁判所次第で、時間も費用もかかります。遺言書を1通書けば、この不確実な手続きは丸ごと不要になります(内縁の妻・夫に相続権はない/遺贈とは)。
共有持分だけは別ルート|他の共有者へ
不動産の共有持分については特則があり、特別縁故者への分与がなされない場合、その持分は国庫ではなく他の共有者に帰属します(民法255条)。兄と1/2ずつ共有する土地で、独身の兄が亡くなり相続人も特別縁故者もいなければ、清算手続きを経て兄の持分はあなたのものになる、という流れです(共有名義の相続の基本はこちら)。ただし自動ではなく、清算人選任の申立てから進める必要がある点に注意してください。
申立てが必要になる人と費用
清算手続きは誰かが申し立てないと始まりません。実際に申立てを行うのは、主に次の立場の人です。
① 債権者──貸したお金・未払い家賃などを遺産から回収したい人。
② 特別縁故者になりたい人──分与を申し立てる前提として清算手続きが必要。
③ 全員放棄後も管理責任が残る元相続人──放棄時に遺産(自宅など)を現に占有していた人は、清算人に引き継ぐまで保存義務が続くため、その解消のために申し立てるケース。
④ 共有者・その他の利害関係人、検察官
申立て自体の手数料は少額ですが、清算人の報酬等に充てる予納金として数十万円〜100万円程度(遺産から賄える見込みがあれば減額・不要となる場合あり)を裁判所に納めるのが一般的です。回収見込みと費用を天秤にかける必要があるため、申立て前に弁護士・司法書士へ相談することをおすすめします(専門家費用の相場)。
生前にできる備え|遺言があれば手続き自体が不要
「相続人がいない」の帰結を決めるのは、生前のたった1枚の書面です。
① 遺言書で行き先を決める──内縁のパートナー、お世話になった人、支援したい団体(遺贈寄付)など、遺言で受取人を指定すれば、財産は清算手続きを経ずにその人へ渡ります。遺言執行者の指定もセットで(遺言執行者とは/遺言書の無料作成)。
② 死後の実務の担い手を決める──葬儀・納骨・家財処分などの実務は、死後事務委任契約で託せます。
③ 全体設計はおひとりさま終活の記事で──見守り・任意後見・遺言・死後事務の組み合わせ方は「おひとりさまの終活」にまとめています。
よくある質問
甥・姪はいますが疎遠です。それでも「相続人不存在」ではないのですか?
兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子(甥・姪)が代襲相続人になるため不存在ではありません(代襲相続の範囲)。疎遠な甥姪に渡したくない場合こそ、遺言で行き先を指定してください(兄弟姉妹・甥姪に遺留分はないため、遺言どおりに実現できます)。
全員で相続放棄した実家の管理は、放棄すれば終わりですか?
放棄時にその家を現に占有していた人には、清算人へ引き継ぐまでの保存義務が残ります(2023年改正で義務の範囲が明確化)。火災・倒壊リスクのある家を抱えている場合は、清算人選任の申立てまで進めて管理から解放されるのが確実です(空き家放置のリスク)。
国庫帰属になるくらいなら、生前に「相続土地国庫帰属制度」を使うのと同じですか?
別の制度です。相続土地国庫帰属制度は「相続した土地を相続人が国に引き取ってもらう」生前・相続後の申請制度(詳細はこちら)で、本記事の国庫帰属は「受け取り手のいない遺産の最終処理」です。混同にご注意ください。
友人が亡くなり、私が長年介護してきました。何から始めるべきですか?
遺言がないか(自宅・法務局保管・公証役場の検索)をまず確認し、なければ相続財産清算人の選任申立て→特別縁故者の分与申立てという流れになります。期限の管理が重要なため、早めに弁護士へ相談してください。
「国庫行き」を避ける一番の近道は、遺言書です
渡したい人・団体があるなら、遺言書1枚で清算手続きは不要になります。ステップに沿って入力するだけで、下書きを無料作成できます。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。