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相次相続控除とは?10年以内に相続が続いたときの税額控除と計算例

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 7分で読めます

相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)とは、10年以内に相続が2回続いたとき、前回の相続で納めた相続税の一部を今回の相続税から差し引ける制度です。「父の相続から数年で母も亡くなった」という場合に、同じ財産へ短期間に二重の相続税がかかる負担を和らげます。

控除額は前回から今回までの経過年数が1年増えるごとに10%ずつ減っていく仕組みで、間隔が短いほど大きく控除されます。税務署は適用漏れを教えてくれないため、知らずに申告して納めすぎるケースが少なくありません。この記事で要件・計算式・計算例を確認してください。

この記事の要点

①10年以内の2回目の相続で、前回「今回亡くなった人が」相続税を納めていれば使える ②控除額は前回の納税額×(10−経過年数)/10が基本。3年後の相続なら約70%を控除できる ③使えるのは相続人だけ(放棄者は不可)。申告済みでも5年以内なら更正の請求で取り戻せる

相次相続控除の仕組み――経過年数で減っていく控除

1次相続 父が死亡 母が相続税を納付 10年経過 ここを過ぎると 控除はゼロ 90% 1年後 70% 3年後 50% 5年後 30% 7年後 10% 9年後 2次相続までの経過年数と、前回納税額のうち控除できる割合
図:経過1年ごとに控除割合が10%ずつ減少。2次相続が早いほど控除は大きくなります。

典型例で言えば、父の相続(1次相続)で母が相続税を納め、その母が10年以内に亡くなった(2次相続)とき、母が納めた相続税のうち経過年数に応じた割合を、子どもたちの今回の相続税から差し引けます。同じ財産に立て続けに課税される酷さを調整する趣旨の制度です。

計算式と計算例

正確な計算式は次のとおりです(各相続人ごとに計算します)。

控除額 = A × C/(B−A) × D/C × (10−E)/10
A今回亡くなった人が、前回の相続で納めた相続税額
B今回亡くなった人が、前回の相続で取得した財産の額(純資産価額)
C今回の相続で相続人・受遺者全員が取得する財産の合計額(純資産価額)
Dその相続人が今回取得する財産の額(純資産価額)
E前回から今回までの経過年数(1年未満は切り捨て
C/(B−A)が1を超える場合は1として計算します(前回税額の全額が上限になる仕組み)。

計算例:父の死亡から3年後に母が死亡したケース

  1. 前提:母は父の相続で財産5,000万円を取得し、相続税200万円を納付(A=200万円、B=5,000万円)。3年後に母が死亡し(E=3年)、母の遺産6,000万円(C)を長男と長女が3,000万円ずつ取得(D=各3,000万円)
  2. C/(B−A)=6,000万円/4,800万円=1.25 → 1を超えるので「1」で計算
  3. 長男の控除額=200万円 × 1 ×(3,000万円/6,000万円)×(10−3)/10 = 70万円。長女も同じく70万円
  4. 相続人全体では合計140万円(=前回納税額200万円×70%)を、今回の相続税から差し引けます

今回の相続税そのものの計算手順は「相続税の計算方法」を、そもそも今回の遺産が基礎控除内かどうかは「相続税の基礎控除」をご覧ください。

適用要件と注意点

  • 要件①:10年以内に相続が2回。前回の相続開始から今回の相続開始までが10年以内であること
  • 要件②:今回亡くなった人が、前回相続税を納めている。前回が基礎控除内で無税だった場合や、配偶者の税額軽減で納税ゼロだった場合は使えません。「前回誰がいくら納めたか」は前回の申告書控えで確認します
  • 要件③:使えるのは今回の「相続人」だけ。相続放棄をした人や、相続人でない受遺者(遺言で財産をもらった孫など)は対象外です
  • 申告時は計算書の添付を忘れずに。相続税申告書の第7表(相次相続控除額の計算書)で計算・記載します。税務署から「使えますよ」と案内は来ないため、10年以内に相続があった家庭は自ら確認が必要です
  • 申告後に気づいたら更正の請求。申告期限から原則5年以内なら、納めすぎた分の還付を請求できます
一次相続の分け方が、この控除の「効き」を左右します

相次相続控除は「前回納めた税額」が原資です。つまり一次相続で配偶者の税額軽減を使い切って納税ゼロにすると、二次相続でこの控除は使えません。一次相続の段階で配偶者にどれだけ寄せるかは、この控除も含めたトータルで設計するのが正解です。考え方は「二次相続とは?一次相続の分け方で税額が変わる」で詳しく解説しています。

「数次相続」との違い

似た言葉に「数次相続(すうじそうぞく)」があります。こちらは前の相続の遺産分割が終わらないうちに、相続人がさらに亡くなってしまった状態を指す言葉で、税額控除の制度名ではありません。たとえば父の遺産分割協議中に母も亡くなったケースがこれにあたり、協議書の書き方に特有のルールがあります(数次相続の遺産分割協議書の書き方)。

整理すると、相次相続控除=10年以内に相続が続いたときの「税金の割引制度」、数次相続=分割手続きが重なった「状態」です。数次相続の状態で申告する場合でも、要件を満たせば相次相続控除は使えます。

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よくある質問(FAQ)

相続放棄をした人でも相次相続控除は使えますか?

使えません。対象は今回の相続の「相続人」に限られ、相続放棄をした人や、相続権を失った人が遺贈で財産を受け取った場合は適用できません。

すでに申告を済ませた後で相次相続控除に気づきました。取り戻せますか?

取り戻せる可能性があります。申告期限から原則5年以内なら「更正の請求」で納めすぎた相続税の還付を受けられます。前回の相続税申告書の控えを用意して、税務署または税理士(費用の相場)にご相談ください。

前回の相続で相続税がかからなかった場合も使えますか?

使えません。「今回亡くなった人が、前回の相続で相続税を納めていた」ことが要件です。前回が基礎控除内だった場合や、配偶者の税額軽減で納税額がゼロだった場合は、控除の原資となる税額が存在しないため適用外です。

1回目と2回目の間がちょうど10年の場合は使えますか?

10年以内なら対象です。経過年数は1年未満切り捨てで数えるため、9年11か月なら「9年」として10%分の控除が受けられます。

まとめ

  • 相次相続控除=10年以内に相続が続いたとき、前回納めた相続税の一部を今回から差し引ける制度
  • 控除割合は(10−経過年数)×10%。3年後の相続なら前回税額の約70%を控除できる
  • 使えるのは相続人のみ。前回の納税がゼロなら適用不可。申告後でも5年以内なら更正の請求で還付
  • 一次相続で配偶者に寄せすぎると原資が消える。二次相続まで見据えた分け方とセットで検討を

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、税務アドバイスではありません(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。計算例は単純化したモデルであり、実際の控除額は純資産価額のとらえ方等で変わります。適用の可否・金額は税理士等の専門家にご確認ください。