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相続発生後

死亡退職金は相続財産になる?500万円×法定相続人の非課税枠と受取人の決まり方

公開日 2026年8月23日 ・ 更新日 2026年8月23日 ・ 7分で読めます

在職中に亡くなった家族の勤務先から支払われる死亡退職金。これが「相続財産になるのか」という質問には、民法(遺産分割)と相続税とで答えが分かれるという、少しややこしい事情があります。

結論を先に言うと、①退職金規程で受取人が決まっていれば受取人固有の財産=遺産分割の対象外、②それでも相続税は「みなし相続財産」としてかかる、③ただし500万円×法定相続人の数の非課税枠(生命保険とは別枠)が使える――の3点セットで理解するのが正解です。この記事で受取人の決まり方から税金までを整理します。

この記事の要点

①受取人が規程で決まっていれば固有の財産。遺産分割協議は不要で、相続放棄をしても受け取れる ②相続税上は「みなし相続財産」。非課税枠は500万円×法定相続人の数で、生命保険の枠とは別に使える ③死亡後3年以内に支給が確定したものが相続税の対象。3年経過後の確定分は受取人の一時所得に変わる

遺産分割では「対象外」、相続税では「対象」

場面死亡退職金の扱い
遺産分割(民法)規程で受取人が決まっていれば受取人固有の財産。協議で分ける必要はなく、他の相続人の同意も不要
相続税「みなし相続財産」として課税対象。ただし非課税枠あり(後述)
相続放棄との関係固有の財産なので放棄しても受け取れる(非課税枠は使えなくなる)
遺留分原則として遺留分の計算にも含まれない(著しく不公平な場合の例外あり)
「もらえるか」は民法、「税金がかかるか」は相続税法。この二重構造は死亡保険金とほぼ同じです。

この構造は死亡保険金とよく似ています。受取人に直接渡る固有の財産だが、実質的には相続で財産が移るのと同じなので、税金の世界では相続財産と「みなす」――という考え方です(生命保険の非課税枠と受取人の決め方)。

受取人はどう決まるか

  1. まず勤務先の退職金規程(就業規則)を確認する。多くの会社は「配偶者→子→父母…」のように受給権者の順位を規程で定めており、この定めが民法の相続順位より優先します。内縁の配偶者を第1順位とする規程(公務員の例など)もあり、規程しだいでは法定相続人以外が受け取ることもあります
  2. 規程に定めがなければ、相続財産として扱われる方向へ。受取人の定めがない死亡退職金は、相続財産として遺産分割協議の対象になり得ます。誰が受け取るかを協議書に明記しましょう(遺産分割協議書の書き方
  3. 会社への請求手続き。死亡退職届・受取人の本人確認書類・戸籍(受給権者であることの証明)などを勤務先へ提出します。健康保険の埋葬料や未払給与の精算など、勤務先関係の手続きとまとめて進めると効率的です(死亡後の手続きチェックリスト

非課税枠の計算――生命保険とは別枠の500万円×法定相続人

相続人が受け取った死亡退職金には、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります。最大のポイントは、死亡保険金の非課税枠(同じく500万円×法定相続人)とは別枠だということです。

計算例:法定相続人が妻+子2人(3人)の場合
死亡退職金 2,000万円を妻が受領非課税枠 500万円×3人=1,500万円
課税対象は500万円だけ
死亡保険金 1,500万円を妻が受領別枠の非課税枠1,500万円で全額非課税
合計 3,500万円の受取り課税対象に乗るのは500万円のみ。これを他の遺産と合算して基礎控除・税率を適用
保険と退職金で計3,000万円分の非課税枠。課税対象額はその後、通常の相続税計算(計算方法)に合流します。
  • 法定相続人の数え方:相続放棄をした人がいても人数に含めます。基礎控除の数え方と同じルールです(基礎控除の数え方
  • 非課税枠を使えるのは「相続人」だけ:相続放棄をした人や相続人でない人(内縁の配偶者など)が受け取った分には枠が適用されず、全額が課税対象になります

弔慰金の扱いと、3年経過後の支給

  • 弔慰金は別途非課税。会社から弔慰金・花輪代として支払われるものは、業務上の死亡なら普通給与の3年分、業務外の死亡なら6か月分まで非課税です。これを超える部分は死亡退職金として扱われ、上の非課税枠の計算に合流します
  • 「3年ルール」で税金の種類が変わる。死亡後3年以内に支給額が確定したもの=相続税(みなし相続財産)、3年経過後に確定したもの=受け取った遺族の一時所得(所得税)。後者は受け取った年の翌年に確定申告が必要です(相続で確定申告が必要になるケース
  • 財産目録への記載を忘れずに。遺産分割の対象外でも相続税の計算には入るため、退職金・弔慰金の支払通知は保管し、財産の一覧に含めておきましょう(財産目録の書き方
経営者・役員の死亡退職金は「会社側の設計」も必要です

中小企業のオーナー社長の場合、死亡退職金は遺族の納税資金や自社株の代償金の原資として機能する重要な相続対策ですが、支給には株主総会決議が必要で、過大な金額は会社側で損金と認められないリスクもあります。自社株の承継(自社株の相続税評価)とあわせて、税理士を交えた事前設計をおすすめします。

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よくある質問(FAQ)

死亡退職金は遺産分割協議で分ける必要がありますか?

規程で受取人が定められていれば固有の財産となり、協議で分ける必要はありません。規程に定めがない場合は相続財産として分割の対象になり得ます。まず勤務先の退職金規程の確認から始めてください。

死亡退職金の非課税枠は、生命保険の非課税枠と合算ですか?

別枠です。保険金に500万円×法定相続人、退職金にも別途500万円×法定相続人の枠があります。法定相続人3人なら合計3,000万円まで非課税で受け取れる計算です。

相続放棄をしても死亡退職金は受け取れますか?

受取人指定があれば固有の財産なので受け取れます。ただし放棄した人は非課税枠を使えず、受け取った全額が課税対象になります(2割加算の対象になる場合もあります)。放棄の判断は「相続放棄を自分でする方法」も参考に。

死亡から3年以上たってから支給が決まった退職金の税金はどうなりますか?

3年以内に確定=相続税、3年経過後に確定=受取人の一時所得(所得税)です。一時所得になった場合は、受け取った年の翌年に確定申告が必要です。

まとめ

  • 受取人が規程で決まっていれば固有の財産。遺産分割は不要で、放棄しても受け取れる
  • 相続税上はみなし相続財産。非課税枠は500万円×法定相続人で、生命保険とは別枠
  • 弔慰金は業務上3年分・業務外6か月分まで別途非課税。超過分は退職金扱い
  • 3年以内確定は相続税、3年経過後確定は一時所得。財産目録への記載漏れに注意

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、税務・法務のアドバイスではありません(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)。退職金規程の内容や支給時期により扱いが変わります。個別のケースについては税理士等の専門家にご相談ください。