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親のお金の管理を子が引き受けるとき|最初にやる7つのこと
親から通帳と印鑑を渡された。受け取り方を誤ると、数年後に兄弟から「使い込んだのでは」と疑われ、相続で争いになります。管理を引き受けた子が最も損をする構造です。
引き受ける初期に必ずやっておく7つの手順を、順番どおりに整理します。介護費用の払い方そのものは「親の預金から介護費用を払うには?」、代理人カードの仕組みは「代理人カードとは」をどうぞ。
①最初に「本人の同意を書面に残す」。誰に・何を任せるかを親の言葉で書いた同意書が、後の疑いを防ぐ土台 ②財産と引き落としの全体像を一覧にし、家族に共有する ③年金と引き落としをメイン口座に集約し、代理人届を出す。子の口座と混ぜない ④使途を記録し、兄弟に定期的に共有する。使ってよい範囲を決め、贈与や立替の扱いも明確に ⑤判断力が低下する前に、財産管理委任・任意後見・家族信託で次の段階に備える
なぜ最初の段取りが重要か——「使い込み」は後から疑われる
親のお金を管理する子は、親の生活のために動いているつもりでも、他の兄弟からは「親の財産に一人だけ触れている人」に見えます。管理中は何も言われなくても、親が亡くなり通帳の履歴を見た兄弟が、出金の使途を問いただす——これが使い込みの争いの典型で、記録がなければ説明できません(「相続の使途不明金」)。
疑われないための条件は①本人がそう望んだ証拠、②全体像と使途の記録、③兄弟への透明な共有。この3つは管理を始めた最初の時期にしか整えられません。
手順①〜③:同意を書面に・全体を把握・口座を整理
- 本人の同意を書面に残す——「長女に預金の管理と支払いを任せる」「使ってよいのは自分の生活費・医療費・介護費用」と、親の言葉で書いた同意書を作り、日付と署名を入れる。判断力があるうちに作れば、後の「勝手に管理した」という主張を防げる(「本人の意思確認書とは」)
- 財産と支出の全体像を把握する——通帳・保険証券・年金・不動産・借入と、引き落としを一覧にする。兄弟に共有する前提で作る
- 口座を整理する——年金の振込と引き落としを一つのメイン口座に集約し、使っていない口座は本人が解約する。メイン口座に銀行の代理人届(代理人カード)を出し、管理する子の口座と親のお金は絶対に混ぜない
「混ぜない」は特に重要です。立て替えて後で戻す、自分の口座に移して払う——どちらも疑いの温床になります。親の支払いは親の口座から直接行うのが原則です。
手順④〜⑤:記録する・兄弟に共有する
- 使途を記録する——月ごとに入出金と使途を一覧にし、領収書を日付順に保管する。現金払いは特に丁寧に。「何に使ったか」が後から追えることが目的で、形式は問わない
- 兄弟に定期的に共有する——月次か四半期ごとに残高と主な支出を送る。反応がなくても送り続ける。「知らされていた」という事実が、後の争いを最も強く防ぐ
「透明であること」が管理する側を守ります。共有していないと、正しく管理していても疑われたときに説明の手段がありません(「兄弟で介護を分担するには」)。
手順⑥〜⑦:使ってよい範囲を決める・次の段階に備える
- 使ってよい範囲を決める——親の生活費・医療費・介護費用・家の維持費は親のお金から。管理する子の交通費や労力への対価を親のお金から受け取るなら、金額と根拠を同意書に書き、兄弟に共有する。親からの贈与(子や孫への援助)は、親の意思で行い贈与契約書を作る。「親が言ったから」だけの出金は、後で証明できない
- 次の段階に備える——同意書と代理人届は、親の判断力がある間の仕組み。判断力が低下すると銀行は代理を認めなくなり、口座は凍結される。その前に、①財産管理委任契約(今すぐ任せる範囲を契約に)、②任意後見契約(判断力が低下したら子が代理する)、③家族信託(まとまった預金や不動産を受託者管理へ)を組む(「財産管理委任契約とは」)
7つの手順は、親の判断力がある今だからできることです。同意書・財産目録・口座整理を済ませ、記録と共有を習慣にする——それが管理する子と親の財産と兄弟の関係を守ります。
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財産管理等委任契約書をつくるよくある質問(FAQ)
親が「兄弟には知らせないでほしい」と言います。共有しなくてよいですか?
親の意向は尊重しつつ、共有しないリスクは親にも伝えてください。親が亡くなった後、管理していた子が兄弟から疑われる事態は、親の望むところではないはずです。折衷案として、親の存命中は詳細を伏せ、同意書に「管理の内容は本人の死亡後に相続人へ開示する」と定めておく、または親の了解のもとで残高と大まかな支出だけを共有する、といった方法があります。少なくとも記録は必ず残し、いつでも開示できる状態にしてください。
通帳と印鑑を預かるだけで、法的な問題はありませんか?
本人の意思で預けている限り違法ではありませんが、銀行との関係では代理権がない状態です。窓口での手続きは本人でなければ応じてもらえず、判断力が低下すれば預かっていても使えなくなります。銀行の代理人届を出せば、届出の範囲で正式に代理できます。さらに財産管理委任契約を結べば、代理権を書面で示せます。「預かる」は入口で、正式な仕組みに移すことが次の一歩です。
親のお金から、自分の交通費や介護の手間賃をもらってもよいですか?
親が了解していれば構いませんが、金額と根拠を同意書に明記し、兄弟に共有してください。「月1万円を交通費として受け取る」「帰省の交通費は実費を精算する」と決め、記録に残します。決めずに受け取ると、相続時に特別受益や使い込みと主張されます。介護の労力への対価を本格的に求めるなら、相続時の寄与分の主張ではなく、生前に親と扶養や報酬の取り決めを書面にしておくほうが確実です。
すでに数年管理していて、記録がありません。今からできることは?
今から記録を始め、過去の分は通帳の履歴をもとに、思い出せる範囲で使途を一覧にしてください。施設や病院の請求書は再発行を頼めることがあります。並行して、親に判断力があるなら今からでも同意書を作り、兄弟に現在の残高と支出の状況を共有してください。過去の記録の穴は完全には埋まりませんが、「今は透明にしている」姿勢が、疑いを和らげます。
まとめ
親のお金の管理を引き受けるときは、①本人の同意を書面に、②財産と支出の全体を把握、③口座を集約して代理人届、④使途を記録、⑤兄弟に定期的に共有、⑥使ってよい範囲を決める、⑦財産管理委任・任意後見・家族信託で次の段階に備える——この順番で進めてください。管理する子の口座と親のお金は混ぜない、「親が言ったから」だけの出金はしない。同意の証拠・使途の記録・透明な共有の3つが、管理する側を「使い込み」の疑いから守ります。判断力がある今だからできることです。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。