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相続発生後

故人の免許・マイナンバーカード・パスポート|返す物一覧

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

遺品整理で出てくる、故人の身分証の数々。運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、保険証——「全部どこかに返すもの」と思われがちですが、実は扱いは三者三様です。

返すべき物、返さなくてよい物、そしてむしろ返さずに保管すべき物まであります。間違えると、悪用のリスクを残したり、後の相続税申告で困ったりします。この記事で正しい仕分けを覚えてください。死亡直後の手続き全体は「死亡後の手続きチェックリスト」にまとめています。

この記事の要点

①故人の身分証は「返納する物」(保険証・介護保険証など)「任意だが返納が安心な物」(運転免許・パスポート)「返さず保管する物」(マイナンバーカード)に分かれる ②運転免許は返納義務の罰則はないが、顔写真付き身分証の悪用を断つため警察署・運転免許センターへの返納が安心 ③マイナンバーカードは死亡により自動的に失効するため返納不要。むしろ相続税申告などで故人の個人番号が必要になるため、手続きが終わるまで保管する ④健康保険証・介護保険証は資格喪失の手続きとあわせて返却。後期高齢者の保険証返却は葬祭費の申請につながる

全体像——「返す・返さない・保管」の3分類

証類扱いどこへ・いつまで
健康保険証・後期高齢者医療の保険証返却する市区町村(国保・後期高齢者)や勤務先の健康保険へ。資格喪失手続きとセット
介護保険被保険者証返却する市区町村の介護保険窓口へ
運転免許証任意(返納が安心)警察署・運転免許センターへ。放置しても更新切れで失効
パスポート任意(失効手続きが安心)都道府県のパスポート窓口へ。無効化して手元に残せる場合あり
マイナンバーカード返納不要・保管死亡で自動失効。相続税申告等で番号を使うため当面保管
扱いのめやす(2026年8月時点)。自治体・窓口により運用差があります。

運転免許とパスポート——悪用を断つ返納

運転免許証は、死亡による返納の義務が罰則付きで課されているわけではなく、放置しても更新されずに失効します。それでも返納をすすめる理由はひとつ——顔写真付きの身分証は、なりすましや不正契約の道具として最も狙われるからです。警察署か運転免許センターに死亡診断書の写しや戸籍など死亡が分かる書類と一緒に持参すれば、その場で手続きできます(必要書類は窓口へ確認を)。

パスポートも同じ発想です。都道府県のパスポート窓口で失効の手続きをすれば悪用の芽を断てます。窓口によっては、無効処理(穴あけ)をしたうえで記念に手元へ返してもらえる運用もあります。海外旅行の思い出が詰まった一冊を残したい場合は、窓口で相談してみてください。

マイナンバーカード——返さず保管が正解

いちばん誤解が多いのがマイナンバーカードです。結論はシンプルで、返納は不要。死亡届が出ると自動的に失効します。わざわざ市区町村へ返しに行く必要はありません。

それどころか、急いで処分してはいけません。理由は、故人の個人番号(マイナンバー)が、死亡後の手続きで必要になるからです。代表例が相続税の申告——申告書には被相続人の個人番号を記載する欄があります。ほかにも準確定申告など税の手続きで使う場面があります。相続の手続きが一段落するまでは、通知カードやマイナンバー入りの住民票の控えとあわせて大切に保管し、不要になった時点で裁断処分すれば十分です。

保険証・その他の証類と、悪用への備え

健康保険証は資格喪失の手続きとともに返却します。国民健康保険・後期高齢者医療は市区町村、会社員だった場合は勤務先経由で健康保険組合へ。このとき窓口で、葬祭費・埋葬料といった給付金の案内も必ず確認してください。返却だけして給付をもらい損ねるのは、よくある取りこぼしです。介護保険証も市区町村へ返却し、未精算の介護費用や高額介護サービス費の還付があれば相続人が受け取れます。

障害者手帳は市区町村へ返却、シルバーパス等の自治体発行証も同様です。そして全体を通じた原則をひとつ——返納・処分が済むまで、身分証類は郵便物や通帳と同じ「貴重品」として一か所で管理すること。遺品整理のどさくさで紛失するのが、悪用リスクとしては一番危険です(整理の段取りは「遺品整理はいつから始める?」)。死亡届やその後の役所手続きの全体像は「死亡届は誰が出す?」もあわせてどうぞ。

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よくある質問(FAQ)

運転免許証を返さないと、罰則がありますか?

死亡後の返納を怠ったことへの罰則はなく、免許は更新されないまま失効します。それでも返納をすすめるのは、顔写真付きの身分証が手元に残り続けること自体がリスクだからです。紛失や盗難に遭えば、なりすましの契約や口座開設に悪用されかねません。警察署・運転免許センターでの手続きは短時間で済みます。形見として写真を残したい場合は、返納前に撮影しておくか、窓口で相談してみてください。

マイナンバーカードは市役所に返すよう言われました。どちらが正しいですか?

自治体によって案内に差がありますが、制度上は死亡届により失効するため、返納は義務ではありません。窓口で回収の案内をされた場合も、「相続税の申告で個人番号が必要なので、手続きが終わるまで保管したい」と伝えれば問題ありません。重要なのは、失効していても券面の番号は相続の手続きで使うという点です。返す・返さないより、手続き完了まで紛失しないことを優先してください。役目を終えたら裁断して処分すれば十分です。

故人のマイナンバーは、どんな手続きで必要になりますか?

代表例は相続税の申告で、申告書に被相続人(亡くなった方)の個人番号を記載する欄があります。また、亡くなった年の所得を申告する準確定申告でも使います。番号はマイナンバーカードのほか、通知カードや「個人番号入りの住民票(除票)」でも確認できます。カードを早々に処分してしまい番号が分からなくなった場合は、個人番号入りの住民票の除票を取得する方法があるので、市区町村の窓口に相談してください。

保険証を返しに行くとき、他に一緒にやれる手続きはありますか?

あります。市区町村の窓口はワンストップ化が進んでおり、保険証の返却(資格喪失)・介護保険証の返却・葬祭費の申請・世帯主変更・未支給年金の案内などを同じ日にまとめて進められることが多いです。行く前に「おくやみ窓口」や死亡後手続きの案内ページを確認し、戸籍・印鑑・振込口座・葬儀の領収書など必要な物を揃えて行くと一度で済みます。給付金の申請には期限があるものが多いので、返却のついでに必ず確認してください。

まとめ

故人の身分証は「返す・返さない・保管」の3分類で仕分けます。保険証・介護保険証は返却(給付金の確認とセットで)、運転免許とパスポートは任意でも悪用を断つために返納が安心。そしてマイナンバーカードは返納不要——相続税申告で番号を使うため、手続き完了まで保管が正解です。処分まで貴重品として一か所管理を徹底すれば、なりすましのリスクは断てます。細々した死後の実務こそ、生前に頼み先を決めておく価値があります。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、法律・税務の個別助言を行うものではありません。各社・各自治体の手続きや取り扱いは変更されることがあります。実行にあたっては各窓口や専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)