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家族信託は後から変更・解約できる?合意のルール・手続きの流れ・税金と「できなくなる時」
「契約したけれど、受託者を長男から長女に代えたい」「売却権限を追加したい」「そもそも、もうやめたい」――家族信託は10年20年続く契約ですから、途中で見直したくなるのは自然なことです。
結論からお伝えします。①家族信託は委託者・受託者・受益者の合意があれば後から変更できます(信託法149条。契約に変更条項があればそれに従います)。②終了(いわゆる解約)も、委託者兼受益者と受託者の合意でいつでも可能です(同164条)。③ただし本人(委託者兼受益者)の判断能力が失われると、この「合意」自体ができなくなり、変更・終了の自由は大きく制限されます。④終了時の税金は「財産が誰に行くか」で決まり、本人に戻るなら原則課税なし、他の人へ行くなら贈与税・相続税の世界です。
変更・終了のルール全体図
よくある変更と手続き
① 受託者を交代したい
受託者の辞任は委託者・受益者の同意で可能で、新受託者の就任とセットで進めます(契約に定めがあればそれに従う)。実務の手順:変更契約書(受託者変更)を作成→(推奨)公正証書化→信託口口座の名義変更を銀行へ届出→不動産があれば受託者変更の登記。受託者が死亡した場合は同意を待たず、契約の予備的受託者が自動的に引き継ぎます(定めがないと1年で信託終了のリスク)。
② 権限を追加・変更したい(例:売却権限の追加)
三者の合意による変更契約で追加できます。ただし急いでください。この変更こそ、本人の判断能力が失われた瞬間にできなくなる代表例です。「施設入居が現実味を帯びてから売却権限を足す」つもりでいると、間に合わないことがあります。
③ 財産を追加したい(追加信託)
当初は少額で始め、様子を見て金銭を追加するのはよくある運用です。契約に追加信託の条項があれば、追加信託契約書(無料ツールあり)を作成し、信託口口座へ振り込むだけです。条項がない場合は、まず変更契約で条項を入れるところから。
④ 帰属権利者(財産の行き先)を変えたい
三者合意の変更契約で可能です。遺言の書き直しでは変えられない点に注意してください(信託財産には遺言が及ばないため)。また、行き先の変更は他の家族の利害に直結します。変更の経緯を書面に残し、関係者へ共有しておかないと、死後の紛争の火種になります。
終了(解約)したいとき
合意による終了:いつでもできる
認知症対策の標準形(自益信託)なら、委託者兼受益者(親)と受託者(子)の合意でいつでも終了できます。手順:終了(解除)の合意書を作成→清算(債務・費用の精算)→残った財産を帰属権利者へ引き渡し→信託口口座の解約→不動産は信託登記の抹消と所有権移転登記。
合意によらない終了:契約の終了事由
- 本人(委託者兼受益者)の死亡(最も一般的な終了事由)
- 信託目的の達成・達成不能
- 受託者不在のまま1年経過(予備受託者の定めがない場合の事故的な終了)
本人の判断能力が失われた後は、「やめる合意」も「直す合意」もできません。「合わなければやめればいい」が通用するのは、本人が元気な間だけです。逆に言えば、契約直後に違和感があるなら、見直すなら今です。
終了時の税金:「財産が誰に行くか」で決まる
| 終了のパターン | 課税の整理(自益信託の場合) |
|---|---|
| 生前に終了し、財産が本人(委託者兼受益者)に戻る | 実質的な財産の移転がないため、原則として贈与税等は課されない(不動産の登記に登録免許税等の実費) |
| 生前に終了し、財産が本人以外(子など)へ | その人への贈与として贈与税の対象になり得る |
| 本人の死亡により終了し、帰属権利者が取得 | 遺贈と同様に相続税の課税対象(信託だから減るわけではない) |
不動産を含む信託の終了は、実行前に税理士・司法書士に確認してください。
変更・終了の実務チェックリスト
- □ 契約書の変更条項・終了事由を最初に読む(合意の要件が契約で緩和・加重されていることがあります)
- □ 変更契約書・終了合意書は書面で作成(公正証書推奨。当初契約が公正証書なら変更も公正証書で揃えると銀行対応が円滑です)
- □ 銀行への届出(信託口口座の変更・解約は銀行所定の手続きが必要)
- □ 不動産は登記の変更・抹消(司法書士へ)
- □ 帳簿・計算書の締め:終了年も信託の計算書(該当時)と最終の信託事務報告を忘れずに
手続き書面を、無料でつくる
追加信託契約書ツールや受託者の辞任届・就任承諾書ツールで、この記事の手続き書面を作成できます(登録不要)。契約内容の変更は影響が大きいため、専門家のレビューを受けられる信託変更契約書ガイドもご覧ください。
よくある質問(FAQ)
受託者の私が「もう続けられない」場合、一方的に辞められますか?
原則は委託者・受益者の同意(またはやむを得ない事由での裁判所の許可)が必要で、放り出すことはできません。辞任と新受託者の就任をセットで進めてください。負担が理由なら、事務の軽量化(帳簿ツール・報酬条項の追加)で続ける道もあります。
親が軽い認知症になり始めました。まだ変更できますか?
変更の合意にも意思能力が必要で、契約時と同じく個別判断です。公証人・専門家の慎重な意思確認を前提に、可能なうちに急いでください。迷っている時間が選択肢を減らします。
信託をやめたら、また口座凍結のリスクに戻るのですよね?
そのとおりです。終了は「対策の解除」を意味します。やめる理由が受託者の負担や設計の不満なら、終了ではなく変更(受託者交代・権限修正)で解決できないかを先に検討することをおすすめします。
まとめ
- 変更は三者の合意、終了は委託者兼受益者と受託者の合意で可能。契約の条項が最優先
- 本人の判断能力喪失後は、変更も終了もできなくなる。見直すなら今
- 終了時の税金は「財産の行き先」で決まる。本人に戻れば原則非課税、他人へ行けば贈与・相続税
- 書面化→銀行届出→登記→帳簿の締め、まで終えて手続き完了
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。