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家族信託のデメリット8つを正直に解説|後悔しないための解消策と「やめたほうがいい」ケース

公開日 2026年8月16日 ・ 更新日 2026年8月16日 ・ 12分で読めます

家族信託を調べていくと、「万能の認知症対策」のような紹介と、「やってはいけない」「後悔した」という記事の両方が目に入り、かえって判断がつかなくなる――そんな状態でこのページに辿り着いた方が多いはずです。

当サイトは家族信託の契約書作成ツールを提供している、いわば家族信託を勧める側のサイトです。だからこそ、この記事ではデメリットを一切ぼかさずに書きます。家族信託には明確な弱点があり、向かない家庭もあります。それを理解せずに契約した方が「後悔した」と語っているのが実情だからです。

8つのデメリットと、それぞれの解消策・軽減策、そして最後に「家族信託が不要・不向きなケース」まで、契約前に知っておくべきことをすべてまとめました。

家族信託の8つのデメリット【全体マップ】

家族信託の8つのデメリットを、始めるとき・家族の負担・できないこと・税務法務の4分類に整理したマップ
図:家族信託の8つのデメリット ― 4分類マップ。いずれも設計と運用で緩和できます。

始めるときの壁

デメリット① 本人の判断能力が必要――最大の制約

家族信託は契約です。親(委託者)に契約内容を理解できる判断能力がなければ、そもそも契約できません。認知症が進んでから「家族信託にしておけば」と気づいても手遅れで、その場合の選択肢は成年後見制度に事実上限られます。

【解消策】これだけは解消策がなく、「早く動く」以外にありません。軽度認知障害(MCI)や初期の認知症でも契約できる可能性はありますが、公証人・専門家による慎重な意思確認が前提です。迷っている期間そのものが最大のリスクです。

デメリット② 初期費用がかかる

専門家にフルサポートを依頼すると、報酬相場は信託財産の1%前後(最低30万円〜)、公正証書費用・登記費用を含めて総額50〜100万円になるケースもあります。成年後見と違って初期にまとまった費用が出るため、ここで断念する方もいます。

【解消策】費用の内訳を分解し、自分でできる部分(家族会議・契約書の下書き)を自分で行う「ハイブリッド方式」なら大幅に圧縮できます。具体的な費用比較は「家族信託は自分でできる?」の記事で解説しています。なお、月額報酬が発生し続ける成年後見と比べると、長期の総負担では家族信託が下回ることが多い点も、費用は「初期」だけでなく「累計」で比較してください。

家族の負担に関わるデメリット

デメリット③ 受託者のなり手と、続く事務負担

受託者になった家族には、分別管理・帳簿作成・年次報告・信託の計算書(該当時)といった義務が、信託が続く限り課されます。10年20年続く仕事であり、「引き受けてくれる家族がいない」「引き受けた子が疲弊する」のはリアルな問題です。

【解消策】①受託者の事務を軽くする(金銭は信託口口座に一本化、帳簿はツールで型化)、②予備的受託者を必ず設定して一人に固定しない、③報酬条項(受託者に月〇円)を契約に入れて「タダ働き」にしない、の3点で負担は大きく変わります。

デメリット④ 家族間の不公平感・トラブル

受託者になった子だけが親の財産を管理することに、他の兄弟姉妹が不信感を持つ――家族信託のトラブルで最も多い構図です。「勝手に契約した」「使い込んでいるのでは」という疑念は、法的に正しい信託であっても人間関係を壊します。

【解消策】契約前に全員参加の家族会議を開き、合意内容を書面(家族会議合意書)に残すこと。契約後は年1回の信託事務報告を受託者以外の家族にも共有すること。透明性がすべての予防策です。

「できないこと」系のデメリット

デメリット⑤ 身上監護はできない

家族信託が扱えるのは財産だけです。介護施設の入所契約、入院手続き、介護サービスの契約といった身上監護は信託の対象外です(実務上は家族が事実上対応できる場面も多いものの、法的な代理権はありません)。

【解消策】身上監護まで法的に備えたい場合は、任意後見契約との併用が定石です。財産は信託、身上監護は任意後見と役割分担します。

デメリット⑥ 節税効果はない

誤解の多いポイントです。自益信託(委託者=受益者)の家族信託は、相続税・贈与税を1円も減らしません。信託財産は相続時に相続税の課税対象になります。「家族信託で節税」という営業トークがあれば、それは不正確です。

【解消策】家族信託の価値は節税ではなく凍結の回避と承継の設計です。節税をしたいなら、暦年贈与や生命保険など、別の手段を組み合わせます。

税務・法務のデメリット

デメリット⑦ 損益通算の制限(収益不動産オーナーは要注意)

信託した不動産から生じた損失(赤字)は、税務上なかったものとみなされ、信託外の所得と損益通算できず、翌年への繰越しもできません。大規模修繕で赤字が出る年のある賃貸オーナーには、実額の税負担増につながり得る重要なデメリットです。

【解消策】収益不動産を信託に入れる場合は、修繕計画と収支見込みを踏まえて、どの物件を信託に入れるか・複数の信託契約に分けるか、税理士を交えて設計してください。ここは自己判断が最も危険な論点です。

デメリット⑧ 遺留分への配慮が必要

信託の帰属権利者の定め方によっては、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害し、死後に金銭請求(遺留分侵害額請求)や信託の効力をめぐる紛争に発展するリスクがあります。遺留分対策として信託を使う設計は、裁判例でも争いになっています。

【解消策】遺留分を無視した設計をしないこと。承継の希望が遺留分と衝突しそうな場合は、付言や生前の対話、生命保険の活用も含め、弁護士に相談して設計してください。

家族信託が「不要・不向き」なケース

正直に書きます。次のケースでは、家族信託を無理に使う必要はありません。

  • 財産が少なく、凍結しても困らない:本人の年金収入の範囲で生活が回り、まとまった預金や不動産がないなら、銀行の代理人サービス等の軽い備えで足りることがあります
  • 信頼して託せる家族がいない:受託者不在では信託は組めません。任意後見(専門家受任)や日常生活自立支援事業が現実的です
  • 家族間にすでに紛争がある:信託契約が火に油を注ぐことがあります。弁護士関与のもとで別の枠組みを検討してください
  • 身上監護こそが主目的:任意後見が本丸です
  • 節税が主目的:前述のとおり信託では実現できません

メリットとの比較(公平のために)

メリット内容
認知症による資産凍結を回避口座凍結・不動産売却不能の問題を根本から防ぐ(最大の価値)
裁判所の関与・継続報酬なし成年後見と違い、月額費用ゼロで家族内で完結
柔軟な財産管理契約で定めれば自宅売却・建替え・運用も可能
承継まで設計できる帰属権利者の指定で遺言と同様の機能。二次相続の設計(受益者連続)も可能
倒産隔離信託財産は受託者個人の債務から切り離される
デメリット8つの多くが「設計と運用で緩和できる」性質であるのに対し、メリットの中核(凍結回避)は他の制度では代替しにくい――これが、弱点を理解したうえでなお家族信託が選ばれている理由です。
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デメリット④(家族の不信)を防ぐ第一歩は、全員参加の家族会議です。話し合った内容は家族会議合意書ツールで形にし、必要と判断したら家族信託契約書ツールで下書きへ進めてください(無料でご利用いただけます)。

よくある質問(FAQ)

「家族信託はやってはいけない」という記事を見ました。本当ですか?

正確には「理解せずにやってはいけない」です。失敗事例の多くは、本記事のデメリット(特に④家族の合意不足、⑦税務、⑧遺留分)を知らずに設計したことが原因で、制度自体の欠陥ではありません。

家族信託で後悔する人の共通点は?

①兄弟に知らせず契約した、②受託者の負担を見積もらなかった、③節税になると誤解していた、の3つが典型です。いずれも契約前に潰せるものです。

30年ルールとは何ですか?

受益者連続型信託(受益権を次々に承継させる設計)に適用される、信託法上の期間制限です(信託開始から30年経過後の承継は1回限り)。典型的な「親の認知症対策」の信託ではほぼ問題になりませんが、二次相続以降まで設計する場合は専門家の関与が必須です。

デメリットを踏まえて、結局どう判断すればいいですか?

判断軸は3つです。①凍結して困る財産(自宅・まとまった預金)があるか、②託せる家族がいるか、③家族の合意が取れそうか。3つともYesなら、家族信託はデメリットを上回る価値を持つ可能性が高いご家庭です。

まとめ:弱点を知って使えば、家族信託は強い道具

  • 家族信託には8つの明確なデメリットがあり、特に「判断能力の壁」だけは解消策がない
  • 節税にはならず、身上監護もできない。目的を間違えると後悔する
  • 家族の合意・受託者の負担設計・遺留分への配慮が、トラブル予防の3本柱
  • 不要なケースも確かにある。判断軸は「凍結して困る財産」「託せる家族」「家族の合意」

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供です。税務(損益通算)と遺留分は特に個別性が高いため、必ず税理士・弁護士にご相談ください(本文中の費用相場等は2026年8月時点の公表情報にもとづきます)。作成した書類の下書きは、専門家のチェックを受けたうえでご利用ください。