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要介護なら使える「障害者控除」|認定書と税の還付

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 9分で読めます

「障害者控除は、障害者手帳のある人のもの」——そう思い込んで、毎年数万円の税金を余分に払い続けている家庭が少なくありません。実は、要介護認定を受けている高齢者は、手帳がなくても障害者控除の対象になれる場合があります

鍵になるのは、市区町村が発行する「障害者控除対象者認定書」という1枚の書類。介護の税負担軽減としては医療費控除が有名ですが、こちらは知名度が低いぶん、知っているかどうかで差がつく制度です。仕組みからさかのぼり還付まで、順に解説します。

この記事の要点

①65歳以上で要介護認定などを受けている人は、市区町村から「障害者に準ずる」と認定されると、手帳がなくても税の障害者控除を使える ②控除額のめやすは、所得税で障害者27万円・特別障害者40万円・同居特別障害者75万円(住民税にも控除あり)。本人だけでなく、扶養する家族の税金も安くできる ③認定書は市区町村の窓口に申請。要介護度だけで自動的に決まるわけではなく、寝たきり度や認知症の程度などの基準で判定される ④年末調整や確定申告で使う。申告し忘れた分は、過去5年までさかのぼって還付を受けられる場合がある

手帳がなくても使える——制度の仕組み

税法の障害者控除は、障害者手帳を持つ人だけの制度ではありません。65歳以上で、市区町村から「障害者に準ずる」と認定された人も対象に含まれます。この「準ずる」の証明が、市区町村が発行する障害者控除対象者認定書です。

大切なポイントは2つ。まず、要介護認定そのものは税の控除に直結しないこと——認定書という別の書類が必要です。次に、控除を使えるのは本人だけではないこと。親を扶養している子や、配偶者の税金でも使えます。親の所得が少なく税金がかかっていなくても、扶養している家族側の所得税・住民税を下げられる——ここがこの制度の実利です。要介護認定がまだの方は、まず認定から(「要介護認定の申請から結果まで」)。

いくら安くなる?控除額のめやす

区分所得税の控除額住民税の控除額
障害者27万円26万円
特別障害者40万円30万円
同居特別障害者75万円53万円
控除額のめやす(2026年8月時点・所得控除)。どの区分になるかは市区町村の認定によります。税率をかけた分が実際の減税額です。

たとえば所得税率10%の子が、同居する特別障害者の親を扶養していれば、所得税だけで年7.5万円分の所得控除×税率+住民税分が毎年効いてきます。介護は長期戦なので、累積の差は小さくありません。なお相続税にも別枠の「障害者控除」(85歳までの年数×10万円、特別障害者は20万円の税額控除)があり、将来の相続の場面でも認定が意味を持ちます(相続税の全体像は「相続税の計算方法」)。

認定書のもらい方——申請先は市区町村

  1. 市区町村の窓口に申請する——高齢福祉・介護保険の担当課が窓口です。申請書1枚で、費用は無料が一般的。本人でも家族でも申請できます
  2. 市区町村が基準で判定する——要介護度だけで自動的に決まるわけではありません。寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)や認知症の程度(認知症高齢者の日常生活自立度)など、要介護認定の資料をもとに、自治体の基準で「障害者」か「特別障害者」かが判定されます。基準は自治体により差があります
  3. 認定書を受け取る——多くの自治体では、対象年分ごと(その年の12月31日時点の状態)に発行されます。申告の時期(年末調整・確定申告前)に間に合うよう、秋〜年明けに申請するのが実務的です

「うちの親は対象になるのか」を電話で問い合わせるだけでも、基準のめやすを教えてもらえます。要介護認定を受けているなら、一度は聞いてみる価値のある電話です。

使い方と、過去5年のさかのぼり還付

認定書が出たら、使い方は普通の障害者控除と同じです。会社員なら年末調整の扶養控除等申告書に記入、自営業や年金生活者なら確定申告で申告します。認定書は保管し、求められたら提示できるようにしておきます。医療費控除やおむつ代の控除と併用できます。

そして見逃せないのが、さかのぼりです。申告し忘れていた年の分は、原則5年以内なら更正の請求や還付申告でさかのぼれる場合があります。過去の年分について認定書を発行してもらえるかは自治体によるため、「過去分の認定書は出ますか」とあわせて確認してください。数年分まとまると、還付は十万円単位になることもあります。こうした控除の適用判断の土台になるのが、親の所得・年金・介護状況の一覧です。財産目録に「要介護度・認定書の有無」の欄を作っておくと、毎年の申告も相続の場面でも迷いません。

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よくある質問(FAQ)

要介護3ですが、自動的に障害者控除の対象になりますか?

自動ではありません。障害者控除対象者認定書は、要介護度そのものではなく、寝たきり度や認知症の日常生活自立度などをもとに市区町村が判定して発行します。「要介護〇以上なら特別障害者」といった独自のめやすを公表している自治体もあれば、個別判定の自治体もあり、基準には地域差があります。要介護認定を受けているなら対象になる可能性は十分あるので、市区町村の高齢福祉・介護保険の窓口に問い合わせてみてください。申請は無料です。

親と別居して仕送りしています。私の税金でも控除を使えますか?

使える場合があります。障害者控除は納税者本人だけでなく、扶養している親族についても適用できるためです。別居でも、生活費の仕送りなどで生計を一にしていると認められれば、扶養控除とあわせて障害者控除(27万円または40万円)を子の側で使えます。なお75万円の「同居特別障害者」は同居が要件です。扶養に入れられるかは親の所得などの条件によるため、迷ったら税務署や税理士に確認してください。

障害者手帳を取るのと、認定書をもらうのは何が違いますか?

目的と手間が違います。認定書は税の障害者控除に使うための書類で、市区町村への申請だけで済み、医師の診断書も不要なのが一般的です。一方、障害者手帳は医師の診断を経て取得し、税だけでなく各種福祉サービスや割引の入口になります。高齢の要介護者の場合、「税の控除だけが目的なら認定書で足りる」ことが多く、手帳取得より手軽です。両方の対象になる場合は、控除は重複せずどちらか一方の証明で申告します。

去年までずっと申告していませんでした。取り戻せますか?

可能性があります。所得税は、還付申告なら対象年の翌年から5年間、年末調整済みの給与所得者の申告漏れも原則5年以内の更正の請求で取り戻せる場合があります。前提として、その年分の認定書が必要です。過去分の認定書を発行してもらえるかは自治体の運用によるため、まず市区町村に「過去の年分の認定書は発行できますか」と確認し、発行されたら税務署で還付の手続きを。数年分まとまれば還付額は大きくなります。

まとめ

要介護の親がいる家庭にとって、障害者控除は「手帳がないから無関係」ではありません。市区町村の障害者控除対象者認定書があれば、本人だけでなく扶養する家族の所得税・住民税まで毎年軽くでき、申告漏れは過去5年さかのぼれる場合があります。要介護認定を受けているなら、市区町村への電話一本から始めてください。医療費控除・おむつ代の控除との併用、そして将来の相続税の障害者控除まで——介護と税の接点は、知っている家族だけが得をする世界です。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。

ご利用にあたって:本記事は一般的な情報提供であり、医療・介護・法律・税務の個別助言を行うものではありません。制度の内容や控除額・自己負担額は所得区分・お住まいの自治体・年度改定により異なります。実行にあたっては市区町村の窓口や税務署、専門家にご確認ください。(本文中の情報は2026年8月時点にもとづきます)