底地(貸している土地)の相続|地代・評価・借地人との関係と売却
相続した土地に他人の家が建ち、親は地代を受け取っていた——底地の相続です。評価額は低いのに買い手がつかない、扱いの難しい財産です。
手続き、相続税評価、地代と承諾料、出口(借地人への売却・同時売却・等価交換・物納)を整理します。借地人側の相続は「借地権は相続できる?」をどうぞ。
①底地は借地権が設定された土地の所有権。相続で地主の地位を引き継ぎ、借地人の承諾は不要。借地人に通知と振込先変更を知らせる ②評価は「自用地評価×(1−借地権割合)」で更地の30〜40%程度。貸付事業用宅地として小規模宅地の特例も ③地代・更新料・承諾料は不動産所得 ④出口は、借地人に売る(更地の40〜50%で最も高い)、同時売却、等価交換、物納の4つ。買取業者は1〜2割と安い
底地とは——相続で引き継ぐ「地主の地位」と最初の手続き
底地は、借地人が建物を所有している土地の所有権です。借地人は借地借家法で強く保護され、地主は正当な理由なく土地を返してもらえません。相続すると地主の地位——地代を受け取る権利と契約上の義務——をそのまま引き継ぎます。
- 借地契約書を探す——期間・地代・更新・承諾料の定めを確認。古い底地は契約書がないことも多く、地代の受取記録が証拠になる
- 借地人に通知する——相続の事実と新しい地主・振込先を文書で。承諾は不要
- 相続登記をする——借地人は関与しない
- 分割前の地代——全員が法定相続分で取得するのが原則だが、底地を取得する相続人が受け取る扱いも多い
相続税評価——借地権割合を引いた額・小規模宅地の特例
評価は自用地としての評価額から借地権の価値を引いた額です。借地権割合は路線価図に記載され、住宅地で60〜70%が多く、その分だけ下がります。
| 条件 | 底地の評価額 |
|---|---|
| 自用地評価5,000万円・借地権割合60% | 5,000万円×(1−0.6)=2,000万円 |
| 自用地評価5,000万円・借地権割合70% | 5,000万円×(1−0.7)=1,500万円 |
さらに「貸付事業用宅地」として小規模宅地等の特例で200㎡まで50%減額できる場合があります(相続開始前3年以内に貸し始めた土地は原則対象外)(「小規模宅地等の特例」)。
「評価額=売れる値段」ではありません。底地の市場価値は評価額よりさらに低いことが普通です。
地代・更新料・承諾料——底地の収入の中身と税金
収入は地代・更新料・承諾料の3つです。
- 地代——固定資産税の3〜5倍が目安だが、古い契約では下回るものも多い。値上げは合意か調停が必要
- 更新料——契約や慣行による。更地価格の3〜5%程度が多い
- 承諾料——建て替え3〜5%、借地権の譲渡10%程度、増改築2〜3%が目安
いずれも不動産所得として相続人が確定申告します(「相続した不動産の確定申告」)。相続直後は承諾料や地代見直しの交渉が起きやすい時期です。契約書と受取記録を整理し、相場を確認してから応じてください。
出口——借地人への売却・同時売却・等価交換・物納
底地は第三者に売っても買い手は地代しか得られず、市場価値は低くなります。出口は4つです。
| 出口 | 売れる値段のめやす | 備考 |
|---|---|---|
| ①借地人に売る | 更地価格の40〜50%程度(最も高い) | 借地人は買えば完全所有地になるため動機が強い |
| ②借地権と同時に売る | 更地価格を割合に応じて分ける | 借地人も売却したい場合 |
| ③等価交換 | — | 底地の一部と借地権の一部を交換し、それぞれ完全所有地に。土地が広い場合に有効 |
| ④相続税の物納 | 相続税評価額で収納 | 底地は物納できる財産(「相続税が払えないときの対処」) |
| 底地買取業者に売る | 更地価格の10〜20%程度 | 最後の手段 |
最初に打診すべきは借地人です。借地人に断られてから業者に売ると1〜2割になるため、順番を間違えないでください。遺産分割では、この出口の見込みと地代収入を踏まえて配分を調整します。
底地は「地番・借地人・地代・借地権割合・評価額」で財産目録に——契約の内容と収入を書き出せば、遺産分割の配分と出口の判断が進みます。財産目録の下書きを画面のステップに沿って無料でつくれます。
財産目録をつくるよくある質問(FAQ)
借地契約書が見つかりません。契約は有効ですか?
有効です。借地人が建物を所有して地代を払っている事実があれば契約は存在します。期間は法定とみなされ、地代は過去の受取額が基準です。相続を機に契約内容を書面にしておくと、更新・承諾料・売却・物納の際に役立ちます。地代の記録は証拠として保管してください。
借地人が地代を払ってくれません。土地を返してもらえますか?
数か月の遅延程度では解除は認められにくく、相当期間の催告をしても払わない場合に限られます。内容証明で催告し、払わなければ弁護士に相談して解除と建物収去を求めます。古い分は時効(5年)で請求できなくなるため、早めに督促してください。
底地を相続したら固定資産税は誰が払いますか?
地主(相続人)が払い、借地人は建物の固定資産税を払います。古い契約では地代が固定資産税と同額か下回ることがあり、「持っているだけで赤字」になります。地代の見直しか、出口の検討の判断材料です。
底地を子ども2人で共有相続してもよいですか?
避けたほうが無難です。共有にすると地代の分配・承諾料の交渉・売却のたびに全員の合意が必要になり、次の相続で収拾がつかなくなります。一人が取得し、代償金や他の財産で調整するのが基本。分けられなければ借地人への売却や同時売却で現金化して分けます。
まとめ
底地を相続すると地主の地位を引き継ぎ、借地人の承諾なしに地代・更新料・承諾料を受け取る権利を得ます。相続税評価は自用地評価×(1−借地権割合)で更地の30〜40%程度、貸付事業用として小規模宅地の特例も。ただし評価額と売れる値段は別で、出口は借地人への売却(更地の40〜50%)が最も高く、同時売却・等価交換・物納が続き、買取業者は10〜20%。共有は避け、契約書と地代の記録を整え、財産目録に借地人・地代・借地権割合を書いてください。
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この記事の監修
ゾウゾクグループ
長年にわたり相続分野で積み重ねてきた経験を活かし、zouzoku(ゾウゾク)を運営しています。相続・家族信託・終活に関する書類作成ツールと解説記事を提供しています。