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相続発生後

大家が亡くなったときの入居者への通知|通知文・振込先変更・敷金・保証会社

公開日 2026年9月11日 ・ 更新日 2026年9月11日 ・ 8分で読めます

大家だった父が亡くなった。入居者に何を伝え、家賃はどこに振り込んでもらうのか——契約は自動的に引き継がれますが、振込先だけは自動では変わりません。口座が凍結されれば、入居者は払いたくても払えなくなります。

通知の内容と時期、通知文の書き方、遺産分割前後の2段階、敷金・管理会社・保証会社・火災保険を整理します。大家の地位の引き継ぎと税金の全体像は「賃貸アパートを相続したら?」をどうぞ。

この記事の要点

①賃貸借契約は相続人が貸主の地位ごと引き継ぐ。入居者の承諾は不要で、契約条件は変わらない ②最初にすべきは振込先の案内。口座凍結の前に、相続人全員の合意で代表者の口座を案内する ③通知文には、貸主の死亡、契約の継続、相続人代表の連絡先、新しい振込先と切り替え時期を書く。管理会社に委託しているなら管理会社経由で ④遺産分割後は新貸主として再通知し、振込先を取得者の口座に。敷金の返還義務、保証会社・火災保険・更新契約の名義も取得者へ

契約は引き継がれる——入居者に対する原則

貸主が亡くなっても契約は終了せず、相続人が貸主の地位をそのまま引き継ぎます。承諾は不要で、相続を理由に退去や値上げ、再契約を求めることもできません。

遺産分割までの間、物件は相続人全員の共有で、家賃も法定相続分で持ちます。実務では代表者が入居者との窓口になり、家賃をまとめて受け取って管理する形が一般的で、その家賃の帰属は協議書で決めます(「賃貸アパートを相続したら?」)。

最初の通知——口座凍結の前に振込先を案内する

最も急ぐのが振込先の案内です。故人の口座は凍結されると入金もできなくなり、入居者が振り込めない事態が起きると不安と混乱を招きます。

  1. 振込先を決める——相続人代表の口座か遺産管理用の口座。全員の合意を得る
  2. 通知の時期——次の家賃の振込日の前に届くように。死亡から1〜2週間以内が目安
  3. 通知の方法——書面を各戸に。管理会社に委託していれば管理会社から
  4. 家賃の記録——入居者ごとに記録し、全員に共有する

切り替えの月を明記し、二重に案内しないようにしてください。

通知文の書き方——記載項目と文例

次の項目を入れると、入居者の不安と問い合わせを減らせます。

  • 貸主が亡くなったこと——「貸主○○が令和○年○月○日に逝去いたしました」
  • 契約は継続すること——「賃貸借契約は相続人が引き継ぎます。家賃・契約期間・敷金など契約内容に変更はありません」
  • 当面の窓口——「相続手続きが完了するまでの間、相続人代表として○○が対応いたします」と氏名・電話・住所
  • 新しい振込先と時期——「令和○年○月分の家賃から、次の口座にお振込みください」と銀行・支店・口座番号・名義
  • 今後の予定——「相続手続き完了後、改めて新しい貸主をご案内いたします」。管理会社に委託しているなら「日常の連絡は従来どおり管理会社へ」

「住み続けられる」「契約は変わらない」を明記することが安心につながります。相続人の間の争いは書かず、代表者と振込先だけを伝えます。

遺産分割後の再通知・敷金・保証会社・管理会社・保険

遺産分割後の再通知——取得者が決まり登記が済んだら、「新しい貸主」として氏名・連絡先・振込先・変更時期を通知し、代表の窓口は終了すると伝えます。契約書は次の更新時に新貸主名で作り直すのが一般的です。

敷金——新しい貸主が返還義務を引き継ぎます。敷金相当額を取得者が引き継ぐことを協議書に記載し、退去時に「誰が払うか」で揉めないようにします(「賃貸住まいの親が亡くなったら」の逆の立場)。

管理会社・家賃保証会社——管理委託契約の契約者変更と送金先の口座変更を届け出ます。入居者の保証会社にも貸主の変更を通知します。

火災保険・更新契約——建物の火災保険の名義を取得者に変更し、空白期間に事故が起きても補償されるよう早めに保険会社へ。相続中に更新が来る場合は、相続人代表名で更新するか、分割後に行うかを決めます。

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よくある質問(FAQ)

入居者から「貸主が誰になるか決まるまで家賃を払わない」と言われました。

支払義務はなくなりません。相続人代表の口座を通知し、支払いを求めてください。振込先を明示すれば供託の理由もなくなります。払わなければ通常の家賃滞納として督促します。「相続人全員の合意による代表者」と通知に明記すると、入居者も安心して払えます。

相続人の一人が勝手に入居者に「自分に払え」と通知しました。

一人が単独で受け取り先を指定する権限はありません。受け取った家賃の開示と精算を求め、入居者には全員の合意による正しい振込先を改めて通知してください。争いが続くなら、家賃を供託してもらう方法や、調停で家賃の扱いを決める方法があります。

管理会社に任せているので、通知は不要ですか?

管理会社を通じて行えば足ります。貸主の死亡と相続人代表を連絡し、入居者への通知と送金先の変更を依頼してください。送金先が故人の口座のままだと送金できなくなるため、優先して変更します。管理委託契約の契約者変更も整理します。

大家が亡くなったことで、入居者との契約を解除して退去してもらえますか?

できません。相続人は契約条件をそのまま引き継ぎます。退去を求めるには期間満了時に正当事由が必要で、立退料を提示しても認められないことが多いです。売却したい場合は入居者がいる状態で売るのが一般的です。定期借家契約なら期間満了で終了します。

まとめ

大家が亡くなっても賃貸借契約は相続人に引き継がれ、入居者の承諾なく契約条件も変わりません。急ぐのは家賃の振込先——故人の口座が凍結される前に、相続人代表の名義で新しい振込先と切り替えの月を通知してください。通知文には死亡の事実・契約継続・窓口・振込先・今後の予定を書き、管理会社に委託していれば管理会社経由で。遺産分割後は新貸主として再通知し、敷金の返還義務・保証会社・火災保険・更新契約の名義を取得者に変える。部屋ごとの入居者・敷金・保証会社を財産目録に一覧にしておくと、漏れが防げます。

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この記事の監修

ゾウゾクグループ

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